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※この記事は『[図解]身近な科学 信じられない本当の話』(涌井貞美/KADOKAWA)からの抜粋です。
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羽の金属光沢は色素の色ではない!?
タマムシとCDの意外な共通点
都会ではあまり見かけませんが、タマムシは美しい昆虫の代表格です。法隆寺が所蔵する玉虫厨子(たまむしのずし)[ 飛鳥(あすか)]時代にはこの虫の羽が貼られ、往時は金箔を施されたような華麗さがあったそうです。また、「玉虫色」とは、どうにでも解釈できる表現のことをいいますが、これはタマムシの羽の色がさまざまに変化することからきた言葉でしょう。
タマムシの羽は、もちろん金属が貼られているわけではなく、色素が塗られているわけでもありません。それなのに、どうして金属光沢を放つのでしょうか。
タマムシの羽の金属光沢は、シャボン玉が虹色に輝くのと同じしくみです。タマムシの羽は薄い多層構造でできていて、各層がシャボン玉の1枚の膜と考えられます。その各層の厚さは微妙に異なるため、干渉して反射される光の色合いも微妙に変化します。これが、金属光沢を生む秘密です。
タマムシのように、色素ではなく層や溝などの幾何学的構造で発せられる色を構造色といいます。コガネムシやカナブンも同じしくみで金属光沢を持ちます。また、CDの虹色も構造色。CDは本来透明ですが、見る方向で虹色に見えます。データを表現する極微(きょくび)の凹凸(おうとつ)構造が虹色を発しているのです。
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