味と形のいいとこ取り! スーパーに並ぶ野菜は純系2種のハイブリッド/身近な科学

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※この記事は『[図解]身近な科学 信じられない本当の話』(涌井貞美/KADOKAWA)からの抜粋です。

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純系2種のハイブリッド「F1種(しゅ)」。
スーパーの野菜の形が揃っている秘密

スーパーで売られている野菜の形がきれいに揃っていて、しかもおいしいことを不思議に思いませんか。流通上、形が揃うとパッケージや陳列に便利といわれますが、そもそもどうやって実現しているのでしょうか。

これを可能にしているのがF1種と呼ばれる種です。F1種とは、遺伝子が揃っている純系の2種類を交配させてつくった1代目の雑種(ハイブリッド)のこと。犬でいうなら、純血の柴犬と純血の秋田犬から生まれた子犬はF1種です。

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たとえば、「甘い」という性質を優性(ゆうせい)[遺伝的に1代目の子に引き継がれる性質]に持つ純系のトマトと、「形が揃う」という性質を優性に持つ純系のトマトとを掛け合わせてみましょう。生まれたF1種は、これら両親のよいところを引き継ぎます。こうして、甘くて形も揃ったトマトが収穫されます。野菜の形が揃う秘密はここにあるのです。

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大根のF1種の栽培法も見てみましょう。大根のようなアブラナ科の植物は自家不和合性(じかふわごうせい)といって、同じ株の花では受精しない性質があります。そこで、F1種の大根をつくるには、2つの純系種を交互に並べて植え、ハチを飛ばせて交配させます。すると、採れる種子のほとんどはF1種になるのです。

 

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涌井貞美(わくい さだみ)

1952年、東京都生まれ。東京大学理学系研究科修士課程修了後、富士通に就職。その後、神奈川県立高等学校教員を経て、サイエンスライターとして独立。現在は書籍や雑誌の執筆を中心に活動している。著書は、『図解 身近な科学 信じられない本当の話』『雑学科学読本 身のまわりのすごい技術大百科』(以上KADOKAWA)、『Excelでわかるディープラーニング超入門』『ディープラーニングがわかる数学入門』(以上、技術評論社)、『「物理・化学」の法則・原理・公式がまとめてわかる事典』(ベレ出版)、『図解・ベイズ統計「超」入門』(SBクリエイティブ)など多数。

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『[図解]身近な科学 信じられない本当の話』

(涌井貞美/KADOKAWA)

動植物、天体から物理、統計学まで。知っておくべき科学の基本や、現代科学を読み解くのに必要な知識について、身近な例を挙げながらやさしく解説! わかりやすい図解(イラスト・写真)つきなので、学生から年配層まで、科学全般の知識が浅い読者でもとっつきやすく、「科学の教養」が身につけられる100項目を提供する内容です。

この記事は書籍『[図解]身近な科学 信じられない本当の話』からの抜粋です。

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