「岡田准一は、現代の侍だね」映画『散り椿』 木村大作監督インタビュー

25091804.jpg撮影現場で誰よりも檄(げき)を飛ばし、名作映画を盛り上げてきた名キャメラマン、木村大作さん。60代後半で映画監督に転向した木村さんの3作目の監督作『散り椿』が9月28日(金)から公開されます。威勢のいい"木村節"全開のトークをお届けします。

◇◇◇

 

岡田准一に伝えたのは「高倉健をやってほしい」ということ

――『散り椿』、すてきな映画でした。
木村 自分でもそう思うよ(笑)。時代劇は女性が物語を引っ張る話が少ない。『五瓣(ごげん)の椿』(64年)の岩下志麻、『羅生門』(50年)の京マチ子くらい。『散り椿』は女性が物語を引っ張る話なんだ。

――主人公・新兵衛(岡田准一)は信念を貫いて藩を離れた武士。彼に添い遂げた妻・篠(麻生久美子)の遺言が物語を引っ張ります。篠が亡くなる前の夫婦のシーンが美しいです。

木村 悲しい場面ではなく、愛し合う二人の艶っぽい場面にしたかった。そういうことから始まる時代劇、珍しいよね。

 
――寡黙で男らしい新兵衛役、岡田准一さんよく似合います。

木村 岡田さんには「高倉健をやってほしい」と。彼は健さんが大好きなんだよ。今回の殺陣、すごいだろ。あの動きを決めたのも岡田。本物の武士みたいだよね。彼はこれから、健さんみたいになっていくと思うよ。

 

 
迫力の殺陣シーンのひみつ

――岡田さんの殺陣、すごかったです。

木村 すごいよね。俺が撮影助手として参加した黒澤(明)さんの『用心棒』(1961)や『椿三十郎』(1962)も、ワンカット(ひとつのカットで、カメラを止めずに、ひとつながりで撮影すること)でチャンバラを撮っているんだよね。(下手な役者だとカットを細かく割って、スピード感を出さなければいけないけれど)三船(敏郎)さんはワンカット撮影に対応できるスピード感を持っていたから。

――今回もワンカットですね。

木村 そうだね。編集の段階でシーンを割ってはいるけれど、多重キャメラ(複数のキャメラ)で、全部ワンカットで撮っているよ。今回、どうしたら新しいチャンバラを見せられるか考えていたんだけど、岡田は殺陣や時代劇の所作を相当なレベルまで極めているから、俺のやりたいことをわかっていてくれて、「木村さん、こういうのはどうでしょうか」って提案してくれるんだ。すごいのは自分自身でやって見せてくれるわけ。

――それは、すごいですね。

木村 一回、あるシーンでカットを割らないと撮れないかなと思ったシーンがあったんだけど、岡田が俺の横に来て、「大作さん、本当はワンカットでやりたいんでしょう?ここまでワンカットで撮ってきたんだから、それでいきましょう」と自分から言ってくれてね。そうやって撮った殺陣だから、最近の時代劇の中で、水際立っていると思うよ。ある意味、本格的な殺陣だな。

――見たことのない殺陣でした。

木村 岡田を褒めまくることになっちゃうんだけど(笑)、殺陣を勉強してきているし、役者として実際にやってきているから、理にかなっていて理論的なんだよ。殺陣でいちばん重要なのは「残心」といって、刀を90度横に振った後の形。一流の人は、そこを見るらしい。その場面の岡田もすごいよ。あと、着物の着付けがすごい。1日中、崩れなくて、本物の武士みたい。現代の侍だね。

 

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取材・文/多賀谷浩子

 


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木村大作(きむら・だいさく)

『隠し砦の三悪人』(58年)で黒澤明作品に撮影助手として参加して以降、長年にわたり活躍する名キャメラマン。『岳 点の記』(09年)で初監督。『八甲田山』(77年)に代表される大自然でのロケ撮影も得意とし、『散り椿』も時代劇としては前代未聞の全編オールロケで撮影された。


『散り椿』

2018年9月28日(金)全国東宝系にてロードショー
監督・撮影:木村大作 脚本:小泉堯史 

出演:岡田准一、西島秀俊、黒木華、池松壮亮、麻生久美子他

原作:葉室麟『散り椿』(角川文庫刊)

日本 2018年 112分
©2018「散り椿」製作委員会 

 

映画『散り椿』あらすじ
藩の不正を訴え出たため、藩を離れた男・新兵衛(岡田准一)。亡き妻・篠(麻生久美子)との約束を果たすべく、藩に戻り、友でライバルの采女(西島秀俊)と再会する。同時にかつての不正事件を暴こうとするがー。

 

公式サイト:映画『散り椿』

 

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