"男にも女にもモテた"という、いままでとは違った西郷隆盛の一面も描いている大河ドラマ「西郷(せご) どん」(毎週日曜20:00~20:45、NHK総合他)。エネルギーみなぎる新しい西郷隆盛が話題です。その西郷隆盛を真っすぐに全力で演じている鈴木亮平さんはとても魅力的。役作りから西郷隆盛への熱い思いまで存分に語っていただきました。
西郷さんの生きた場所を巡り、その"匂い"を感じたかった
「いま、とても手応えを感じています。瑛太くんが演じる大久保正助(しょうすけ)さん(後の利通(としみち))を目の前にすると、こんなところで涙が出るんだ...とか、台本を読んだときにはなかった、自分でも思ってもみなかった感情が湧いてきます。頭で考えてきたものを現場で裏切られるということがすごく楽しいです」
鈴木亮平さんは"西郷(せご)どん"のように優しい笑顔で、熱く、役について語ってくれます。撮影前には、西郷隆盛が生きた京都、九州、奄美大島、沖永良部島(おきのえらぶじま)を一人で巡り、役作りをしたそう。
「自分の足で行き、自分で見たものを信じたいと思ったんです。実際にはどういう海が広がっているのか、その気候はどうなのか、という"匂い"みたいなものを体感したかったんです。そうすると、演じる西郷さんがどんどん他人と思えなくなって、愛が深まっていくんです。その人間を背負って、子孫の方にも失礼のないようにリスペクトを持っていかに演じるか、ということがいちばん大事だと感じました。また"たくましい体に優しい心が宿る"ということは、西郷さんを演じる上での必須条件だと思いました」
準備をして臨んでも、実際に撮影に入ると、予想以上に体のケアも大変のようです。
「寝不足や疲れがたまると集中力が下がってしまうので、睡眠をちゃんととることが基本です。またスタジオの中は土や砂埃がすごいので、喉と鼻がすぐにやられてしまいます。塩水で鼻うがいをし、プロポリスを飲んだりして気をつけています」
大河ドラマの主役ということで、精神的にもプレッシャーがありそうですが...。
「ありがたいことに、主役のプレッシャーはあまりないんです。演じるのが楽しいからでしょうか。ただし"これくらいでいいかな"と、自分の中で甘えが出そうなときは、何十年も前の先輩方の作品を見てモチベーションを上げるようにしています。特に時代劇では、先輩方のテクニック、本気度、熱、を感じて"どうやって勝負していこうか"と先輩方をライバル視するんです(笑)。
僕は負けず嫌い。だから、そうやって先輩方の作品を見ると、精神的に効くんです。あと、お餅を食べるとテンションが上がりますね(笑)。スイーツ好きなので、お餅に砂糖をつけて食べるのがいちばんです。お餅にはすごい力があります(笑)」
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取材・文/落合佑桂里 撮影/中村嘉昭(LiNQ) ヘアメイク/SHUTARO(DaB inc.& Vitamins,Inc) スタイリスト/臼井 崇(THYMON Inc.)
1983年3月29日生まれ。兵庫県出身。東京外国語大学卒業。ドラマ「花子とアン」「天皇の料理番」「銭形警部」、映画『俺物語!!』『忍びの国』など数々の話題作に出演。6月8日(金)に映画『羊と鋼の森』が公開。