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※この記事は『[図解]身近な科学 信じられない本当の話』(涌井貞美/KADOKAWA)からの抜粋です。
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気象条件が揃うと発生する人工雲。
飛行機雲で気象予報ができる!?
青空にまっすぐ伸びる飛行機雲は、凛(りん)として美しいものです。おもしろいことに、日によってこの雲のでき方は異なります。
飛行機雲は、飛行機のエンジンから出る排気ガスそのものではなく、れっきとした雲。生まれるしくみが普通の雲と同じだからです。その生まれ方は大きく2種類あります。
1つ目は、エンジンから出る排気ガスが作り出す雲。旅客機が飛ぶ高度1万メートル付近では気温がマイナス40度以下になっています。ここに飛行機のエンジンが排気ガスを出すと、中の水分が冷やされて凍り、白い雲となるのです。これは、冬の寒い日に息を吐くと白くなるのと似ています。
2つ目は、翼の後ろに空気の渦(うず)ができ、部分的に気圧と気温が下がり、大気の水分が冷やされてできる雲です。風に乗って山を上る湿気が雲をつくるのに似ています。
飛行機雲は常に生まれるとは限りません。上空の温度、湿度などの条件が揃わないと発生しないのです。
このことから、飛行機雲を見て気象予報ができます。雲が太くなり、なかなか消えないときは、2、3日すると雨が降るといわれます。上空に湿った空気があり、雲ができやすい状態になっているからです。