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※この記事は『[図解]身近な科学 信じられない本当の話』(涌井貞美/KADOKAWA)からの抜粋です。
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卵の殻にあった抱卵(ほうらん)の証拠!
巨大恐竜が卵をつぶさずに温める方法
「体重2トンの恐竜オビラプトロサウルスは抱卵をしていたと考えられる」――。2018年、名古屋大学の研究チームが驚きの研究結果を発表しました。その巨体で、どうやって卵をつぶさずに温めたのでしょうか。
答えは卵の並べ方にあります。恐竜は卵をドーナツ状に並べ、卵のない中心部にうずくまって温めたというのです。整然と並んだ卵の化石を見ると、恐竜の親の愛を感じます。
卵の温め方は、地面に埋めて太陽光や地熱(ちねつ)で温める方法、植物の発酵熱を利用して温める方法など、抱卵以外にも幾通りかあったと思われます。その中で、オビラプトロサウルスが抱卵していたと考えられるのは、化石の卵の殻の構造にあります。
抱卵する卵の殻には気孔(きこう)があります。気孔とは微小な穴で、それが殻に無数に開いているのです。この穴を通して卵は外界と空気のやり取りをします。名古屋大学の研究チームが調べた卵の化石にもこの気孔があり、それが抱卵の有力な証拠とされたのです。
抱卵のイメージから、恐竜には羽毛が生えていたと想像されます。そうでなければ、ドーナツ状に並んだ卵を抱き温めるのは困難でしょう。鳥は「恐竜の生き残り」といわれますが、そのことが強く印象づけられます。
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