アリ社会がうまく回っているのは、「働かない働きアリ」がいるからこそ/身近な科学

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※この記事は『[図解]身近な科学 信じられない本当の話』(涌井貞美/KADOKAWA)からの抜粋です。

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アリ社会に見られる「サステナビリティ」
〝働かない働きアリ〟の存在理由

アリやハチの社会は「女王」だけが繁殖し、他はその繁殖のためだけに働きます。こうしたしくみを備えた生物社会を真(しん)社会性生物といいます。

その中で、働く役割を担う個体を「働きアリ」「働きバチ」などと呼びますが、本当に彼らはいつも働いているのでしょうか。進化生物学者・長谷川英祐(えいすけ)氏の研究(2009年)によると、実は、ある決まった割合の個体は働いていないことが明らかになっています。

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おもしろいことに、巣にいる「働きアリ」だけを分離して新たな巣に移すと、そこで何割かは「働かないアリ」になってしまいます。また、「働かないアリ」だけを分離し新たな巣に移すと、そこで何割かは「働きアリ」になります。そして、働きアリとそうでないアリとの比率は常に一定になるというのです。

皆が一斉に働く社会では、皆が同時に疲れてしまい、誰も働けなくなる〝すき間〟が生じます。卵の世話などは中断すると致命的なので、そのような社会は存続できません。働きアリと働かないアリの絶妙なバランスで、社会が継続しているわけです。

過労死問題など、日本社会で話題になっているサステナビリティ(持続可能性)を考えるとき、とても参考になる社会システムです。

 

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涌井貞美(わくい さだみ)

1952年、東京都生まれ。東京大学理学系研究科修士課程修了後、富士通に就職。その後、神奈川県立高等学校教員を経て、サイエンスライターとして独立。現在は書籍や雑誌の執筆を中心に活動している。著書は、『図解 身近な科学 信じられない本当の話』『雑学科学読本 身のまわりのすごい技術大百科』(以上KADOKAWA)、『Excelでわかるディープラーニング超入門』『ディープラーニングがわかる数学入門』(以上、技術評論社)、『「物理・化学」の法則・原理・公式がまとめてわかる事典』(ベレ出版)、『図解・ベイズ統計「超」入門』(SBクリエイティブ)など多数。

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『[図解]身近な科学 信じられない本当の話』

(涌井貞美/KADOKAWA)

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この記事は書籍『[図解]身近な科学 信じられない本当の話』からの抜粋です。

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