きものをほどいて、まっすぐぬうだけ。えりがふわりと立ち上がる「春のワンピース」

舞台衣装作家の岡本孝子さんに「きもののリフォーム」について教えていただく、定期誌『毎日が発見』の人気連載。今回は、「四角いきもの地をまっすぐにぬい合わせるだけでできるワンピースの作り方」をご紹介します。

ふわりと立ち上がるえりがポイント

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えりは1枚布。身頃とぬい合わせて仕上げます。着丈や袖丈は自分のサイズに合わせて変えましょう。

ご紹介するのは、春のお出かけにぴったりのワンピース。

きものをほどいて四角い布に戻してからリメイクしています。

えりぐり以外(袖付けも!)はまっすぐぬうだけ。

作り方は簡単です。

素材は岡本さんが若いころに着ていたという綸子(りんず)地。

ふわりと立ち上がるえりの表情は、絹独特の柔らかさがあるからこそ出せるものです。

思い出のきもの地でぜひ作ってみてください。

ベルトを結ぶと違う雰囲気に

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ウエストで結ぶには細いベルトが便利。身頃の脇にぬい留めたループに通しています。

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共布でベルトを作ると、おしゃれの幅が広がります。平たいベルトは緩く巻いてアクセントに。棒タイのように首からかけて結んでも。

きものをほどいて、まっすぐぬうだけ。えりがふわりと立ち上がる「春のワンピース」 2103_P100_04.jpgスポーティな着方もすてき

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パンツを合わせると縦のラインが強調され、スレンダーな印象に。プラスするベストや靴などの色を変えると、絹地のぜいたく感がより際立ちます。

ゆったり着られるデザインです

「おしゃれでありながら窮屈でない、着心地のいい服を着たい」。

これは、83歳の作者・岡本さんご自身の思い。

今回ご紹介するワンピースも、着心地と簡単に作れることを優先しました。

細部の特徴を見てみましょう。

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●着脱はホックで

後ろ身頃のあきにホックを付けた、脱ぎ着がらくなプルオーバータイプ。後ろえりのタックがポイント。このタックで、えりが自然に立ち上がるようになっています。きものをほどいて、まっすぐぬうだけ。えりがふわりと立ち上がる「春のワンピース」 re2103_P102_02.jpg

●身幅もたっぷり

前・後ろ身頃とも、幅36cmのきもの地を縦に2枚ぬい合わせたもの。ゆとりがあるのでサイズを気にせず着られます。きものをほどいて、まっすぐぬうだけ。えりがふわりと立ち上がる「春のワンピース」 2103_P102_03.jpg

●袖も四角い布をまっすぐぬうだけ

袖はシンプルな台形。直線ぬいだけで簡単に袖付けできます。きものをほどいて、まっすぐぬうだけ。えりがふわりと立ち上がる「春のワンピース」 re2103_P102_04.jpg

思い出のきものを眺めながらデザインを考えるのが楽しいです

「今回は薄墨桜のような色のきものから、春らしいワンピースをイメージしました」(岡本さん)

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【作ってみましょう】

材料

袷あわせのきもの...1枚
接着芯...10×70cm
ホック...直径1cm×4組
別布(平たいベルト用)...5×150cm


初めにきものをほどきましょう

使うきものが決まったら、シミや目立つ汚れがないか確認してから、ぬい目を丁寧にほどいていきます。裏地も一緒に外します。きものをほどいて、まっすぐぬうだけ。えりがふわりと立ち上がる「春のワンピース」 2103_P102_05.jpg

ぬい目をほどくと図のような四角い布に戻ります。それぞれにアイロンをかけ、きれいな状態にしてから裁ちます。きものをほどいて、まっすぐぬうだけ。えりがふわりと立ち上がる「春のワンピース」 2103_P102_06.jpg


裁ち方

きものをほどいたら、四角い布を1枚の布ととらえて下図のように身頃、袖、えりを裁ちましょう。身頃はきもの地の幅いっぱいにムダなく使います。ぬい方はほとんど直線ぬい。耳を使う箇所は、布端の始末もいりません。

※単位はcm
の数字の縫い代を付けて裁つ

※ベルト布はきもののえりから裁つ

※前・後ろ身頃はきもの地を中表に2枚、袖は4枚重ねて裁つ

きものをほどいて、まっすぐぬうだけ。えりがふわりと立ち上がる「春のワンピース」 2103_P103_01.jpg※きものの身頃から裁つ

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※きものの身頃から裁つきものをほどいて、まっすぐぬうだけ。えりがふわりと立ち上がる「春のワンピース」 2103_P103_03.jpg

きもののおくみから裁つきものをほどいて、まっすぐぬうだけ。えりがふわりと立ち上がる「春のワンピース」 2103_P103_04.jpgきものの袖から裁つ

【次ページ:まっすぐぬうだけ! ワンピースのぬい方】

 

岡本孝子(おかもと・たかこ)さん

1937年、東京生まれ。文化服装学院デザイン科卒業。87年より劇団SCOT主宰の鈴木忠志さんとともに舞台衣装制作に携わる。現在もオペラなど多くの舞台衣装を作り、プライベートでもきものリフォームを楽しんでいる。

この記事は『毎日が発見』2021年3月号に掲載の情報です。
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