舞台衣装作家の岡本孝子さんに「きもののリフォーム」について教えていただく、定期誌『毎日が発見』の人気連載。今回は、「四角いきもの地をまっすぐにぬい合わせるだけでできるワンピースの作り方」をご紹介します。
ふわりと立ち上がるえりがポイント
えりは1枚布。身頃とぬい合わせて仕上げます。着丈や袖丈は自分のサイズに合わせて変えましょう。
ご紹介するのは、春のお出かけにぴったりのワンピース。
きものをほどいて四角い布に戻してからリメイクしています。
えりぐり以外(袖付けも!)はまっすぐぬうだけ。
作り方は簡単です。
素材は岡本さんが若いころに着ていたという綸子(りんず)地。
ふわりと立ち上がるえりの表情は、絹独特の柔らかさがあるからこそ出せるものです。
思い出のきもの地でぜひ作ってみてください。
ベルトを結ぶと違う雰囲気に
ウエストで結ぶには細いベルトが便利。身頃の脇にぬい留めたループに通しています。
共布でベルトを作ると、おしゃれの幅が広がります。平たいベルトは緩く巻いてアクセントに。棒タイのように首からかけて結んでも。
スポーティな着方もすてき
パンツを合わせると縦のラインが強調され、スレンダーな印象に。プラスするベストや靴などの色を変えると、絹地のぜいたく感がより際立ちます。
ゆったり着られるデザインです
「おしゃれでありながら窮屈でない、着心地のいい服を着たい」。
これは、83歳の作者・岡本さんご自身の思い。
今回ご紹介するワンピースも、着心地と簡単に作れることを優先しました。
細部の特徴を見てみましょう。
●着脱はホックで
後ろ身頃のあきにホックを付けた、脱ぎ着がらくなプルオーバータイプ。後ろえりのタックがポイント。このタックで、えりが自然に立ち上がるようになっています。
●身幅もたっぷり
前・後ろ身頃とも、幅36cmのきもの地を縦に2枚ぬい合わせたもの。ゆとりがあるのでサイズを気にせず着られます。
●袖も四角い布をまっすぐぬうだけ
袖はシンプルな台形。直線ぬいだけで簡単に袖付けできます。
思い出のきものを眺めながらデザインを考えるのが楽しいです
「今回は薄墨桜のような色のきものから、春らしいワンピースをイメージしました」(岡本さん)
【作ってみましょう】
材料
袷あわせのきもの...1枚
接着芯...10×70cm
ホック...直径1cm×4組
別布(平たいベルト用)...5×150cm
初めにきものをほどきましょう
使うきものが決まったら、シミや目立つ汚れがないか確認してから、ぬい目を丁寧にほどいていきます。裏地も一緒に外します。
ぬい目をほどくと図のような四角い布に戻ります。それぞれにアイロンをかけ、きれいな状態にしてから裁ちます。
裁ち方
きものをほどいたら、四角い布を1枚の布ととらえて下図のように身頃、袖、えりを裁ちましょう。身頃はきもの地の幅いっぱいにムダなく使います。ぬい方はほとんど直線ぬい。耳を使う箇所は、布端の始末もいりません。
※単位はcm
※□の数字の縫い代を付けて裁つ
※ベルト布はきもののえりから裁つ
※前・後ろ身頃はきもの地を中表に2枚、袖は4枚重ねて裁つ
※きものの身頃から裁つ
※きものの身頃から裁つ
※きもののおくみから裁つ※きものの袖から裁つ