1枚の長羽織からリフォームできます。「マーガレット&スカート」の魅力

舞台衣装作家の岡本孝子さんに「きもののリフォーム」について教えていただく、定期誌『毎日が発見』の人気連載。今回は、1枚の長羽織から作った「マーガレット&スカート」の魅力をご紹介します。

シンプルなシルエット。

きもの地をまとうようにセットアップで楽しんでください

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着用しているのは作者・岡本孝子さん。使用した長羽織は若い頃に着ていたという漆箔(鳥の子紙に漆を塗ったもの)のもの。

1枚の長羽織から...。

マーガレット&スカート

ご紹介するのは、おしゃれをして出かけたい年末年始にぴったりのマーガレット&スカート。

上下そろえて着るととても華やかです。

素材は長羽織。

きものより丈も身幅も小さいですが、裾にたっぷり折り返し分が。

その部分も余さず使えば、両方を作ることができます。

ここでは着丈100cmのものを利用しました。

絹のなめらかさが、シンプルな服のラインをより際立たせます。

《マーガレット》
エレガントな羽織もの。袖付けしないで作れます

マーガレットとは、腕を通す部分のある大判ストールのような上着。袖付けがいらないので、作り方はとても簡単です。

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《スカート》
四角いきもの地を縦にぬい合わせるだけ

細長い長方形の布をシンプルにぬい合わせたギャザースカート。マーガレットの残り布でできます。

1枚ずつ着れば、おしゃれの幅が広がります

マーガレットとスカートは、どちらも多くの場面で活躍するおすすめのアイテム。

いろいろな着方を楽しんでください。

例えば、マーガレットはあらたまった席でも重宝。

ワンピースなどの上に羽織ると優雅な雰囲気が出ます。

反対に、スカートはカジュアルな普段着として。

きもの地というだけで、おしゃれ度がぐんとアップします。

●えり付きジャケットのよう

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着用すると、首元の布がふわりと立ち上がります。えりを付けていないのに雰囲気満点。

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マーガレットは背中までやさしく包み込む形。裏地付きなので暖かさも十分です。

●スカートはボリュームたっぷり

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歩みに合わせて揺れる裾。マーガレットに使わなかった布を余さず利用してボリューム感をもたせています。

●マーガレットは羽織るだけで絵になります

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漆箔の中の1色と同じ赤いワンピースと合わせました。このように、使う羽織の色を生かしたコーディネートもおすすめです。

●スカートはカジュアルな着こなしも

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カジュアルな装いにも似合うのは、スカートがシンプルなデザインだからこそ。丈は自分の好みの長さで作りましょう。

作ってみましょう

長羽織1枚から、マーガレットとスカートの両方を作ります。

羽織は着丈100cm以上のものを。

裏側の裾折り返し分も使います。

寸法は羽織によって異なるので、裁つ前に布が足りるかどうかを確認しましょう。

布地の耳を最大限に生かすので、端の始末も簡単できれいです。

材料
長羽織...1枚
裏地(薄手のウール地)...約80×150cm
接着芯...10×105cm
ゴムテープ...幅3×ウエストの95%の長さ

長羽織を用意します

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ほどいて四角い布に戻します

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【裁ち方】1枚の長羽織からリフォームできます。「マーガレット&スカート」の魅力 2012_P103_03.jpg

《マーガレット》
1.中心をぬい合わせる

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2.上下と袖口をぬう1枚の長羽織からリフォームできます。「マーガレット&スカート」の魅力 2012_P104_02.jpg

3.袖下をぬう

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1)マーガレット布を二つ折りにする。
2)裏地、表地をそれぞれに中表に合わせて袖下を縫う。

4.仕上げる1枚の長羽織からリフォームできます。「マーガレット&スカート」の魅力 2012_P104_04.jpg

《スカート》
1.前側・後ろ側のスカート布をぬい合わせる

1枚の長羽織からリフォームできます。「マーガレット&スカート」の魅力 2012_P104_05.jpg1枚の長羽織からリフォームできます。「マーガレット&スカート」の魅力 2012_P104_06.jpg2.脇をぬう1枚の長羽織からリフォームできます。「マーガレット&スカート」の魅力 2012_P105_01.jpg3.ウエストのギャザーを寄せる1枚の長羽織からリフォームできます。「マーガレット&スカート」の魅力 2012_P105_02.jpg

4.ウエスト布を作り、スカートに付ける

1枚の長羽織からリフォームできます。「マーガレット&スカート」の魅力 2012_P105_03.jpg1枚の長羽織からリフォームできます。「マーガレット&スカート」の魅力 2012_P105_04.jpg1枚の長羽織からリフォームできます。「マーガレット&スカート」の魅力 2012_P105_05.jpg1枚の長羽織からリフォームできます。「マーガレット&スカート」の魅力 2012_P105_06.jpg

【まとめ読み】『岡本さんのシンプルきものリフォーム』記事リスト

取材/飯田充代 撮影/木下大造 イラスト/小池百合穂

 

岡本孝子(おかもと・たかこ)さん

1937年、東京生まれ。文化服装学院デザイン科卒業。87年より劇団SCOT主宰の鈴木忠志さんとともに舞台衣装制作に携わる。現在もオペラなど多くの舞台衣装を作り続けている。

この記事は『毎日が発見』2020年12月号に掲載の情報です。
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