2021年の新刊から不朽の名著まで、「毎日が発見」連載陣ら11人が推薦する「年末年始に読みたい良書33選」。今回は連載「もっともっとおもしろく生きようよ」でおなじみ、医師で作家の鎌田 實さんが薦める「生き方を見つめなおせる本3選」をご紹介します。
鎌田 實さんが薦める「生き方を見つめなおせる本」
(1)2021年刊『いのちの停車場』
南杏子/著 幻冬舎文庫 781円(税込)
死について考えさせられる物語
(2)『だいじょうぶだよ、ゾウさん』
ローレンス・ブルギニョン/著 文溪堂 1,650円(税込)
(3)『中原中也詩集』
中原中也/著 新潮文庫 605円(税込)
(1)は、吉永小百合さん主演で映画化され、吉永さんと対談する機会がありました。
主人公の女医は、脳梗塞で重度の疼痛症に苦しむ父親が安楽死を望んでいることを知り、医師としては否定しながら、娘として父の心に寄り添うのです。
人間の死について、深く考えさせてくれる作品です。
(2)ぼくは絵本が大好き。
佐賀の「まちなかライブラリー鎌田文庫」(佐賀市水ヶ江1丁目2 -22 2階、9~18時、日曜休館)では、毎月、イチオシ絵本をご紹介しています。
11月はコレ。
老いて死を覚悟したぞうを、ねずみが懸命に支えます。
ねずみは、あの世への橋を修理し、「こわがらないで」と見送ります。
ぞうは「だいじょうぶだよ」と渡っていくのです。
温かい命のお話です。
(3)『鎌田實の人生図書館 あなたを変える本と映画と絵本たち400』(マガジンハウス)で、"「物語る」日本の作家ベスト7"の第2位に、中原中也を挙げました。
「汚れつちまつた悲しみに/今日も小雪の降りかかる...」「幾時代かがありまして/茶色い戦争ありました...」
中也を読むと、青春時代を思い出します。
コロナ疲れのいまこそ、本を読んで心を豊かにしておくことが大切だと思います。
取材・文/オフィス・エム(寳田真由美)