灯火に集まるのは虫だけではない。明るさに誘われる「サバンナ効果」/身近な科学

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※この記事は『[図解]身近な科学 信じられない本当の話』(涌井貞美/KADOKAWA)からの抜粋です。

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灯火に集まるのは虫だけではない!?
人も誘蛾(ゆうが)灯に引き寄せられる

「火取り虫」は夏の季語。夏の夜の灯火に虫が本能的に誘われることをいいますが、なんと、この本能は人にも存在します。夜道で明るいコンビニを見ると立ち寄りたくなるのが、その一例です。

一般的に、人は暗いところで明るい場所を見ると、そこに誘われます。これをサバンナ効果といいます。暗い森で迷った人が前方に明るい草原(サバンナ)を見つけると、その光の方向に誘われる現象です。灯火に集まるのは虫だけではない。明るさに誘われる「サバンナ効果」/身近な科学 p057.jpg

 

サバンナ効果は日々の生活に活用できます。

たとえば、店の照明において、入口より奥を明るくすれば客が入りやすくなります。

それは住宅でも同様です。玄関ホールの奥側をより明るくすると、家の奥行き感が増して安心感が生まれ、訪れた人に好印象を与えられます。

逆に、奥が暗いと人は不安になります。この心理を利用して、出口が見えないよう意図(いと)的に曲げたトンネルもつくられています。車のスピードが抑制(よくせい)され、ドライバーに安全運転をさせる効果を狙っているのです。

 

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涌井貞美(わくい さだみ)

1952年、東京都生まれ。東京大学理学系研究科修士課程修了後、富士通に就職。その後、神奈川県立高等学校教員を経て、サイエンスライターとして独立。現在は書籍や雑誌の執筆を中心に活動している。著書は、『図解 身近な科学 信じられない本当の話』『雑学科学読本 身のまわりのすごい技術大百科』(以上KADOKAWA)、『Excelでわかるディープラーニング超入門』『ディープラーニングがわかる数学入門』(以上、技術評論社)、『「物理・化学」の法則・原理・公式がまとめてわかる事典』(ベレ出版)、『図解・ベイズ統計「超」入門』(SBクリエイティブ)など多数。

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『[図解]身近な科学 信じられない本当の話』

(涌井貞美/KADOKAWA)

動植物、天体から物理、統計学まで。知っておくべき科学の基本や、現代科学を読み解くのに必要な知識について、身近な例を挙げながらやさしく解説! わかりやすい図解(イラスト・写真)つきなので、学生から年配層まで、科学全般の知識が浅い読者でもとっつきやすく、「科学の教養」が身につけられる100項目を提供する内容です。

この記事は書籍『[図解]身近な科学 信じられない本当の話』からの抜粋です。

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