【本作を第1話から読む】体に付く脂肪は1種類じゃない!? 「内臓脂肪」が「皮下脂肪」より厄介な理由
『100歳まで元気でいたければ心臓力を鍛えなさい』 (大島一太/かんき出版)第8回【全8回】
心臓は私たちの身体に欠かせない臓器で、止まることなく働き続ける「命の泉」のような存在です。『100歳まで元気でいたければ心臓力を鍛えなさい』の著者で、心臓をテーマにした多くの著書を持つ循環器科医・大島一太さんによれば、長生きするには心臓の健康が不可欠であり、日々の生活を意識することが重要だそう。本稿では基本として覚えておきたいトピックを紹介します。
※本記事は大島一太著の書籍『100歳まで元気でいたければ心臓力を鍛えなさい』(かんき出版)から一部抜粋・編集しました。
性格によって心臓力にも強弱がある?
心臓力の強弱は、人間の性格も関係しています。
1959年に米国の医師であるフリードマン氏とローゼンマン氏は、狭心症や心筋梗塞の患者さんに、特徴的な行動パターンがあることを発見しました(118)。
心臓病外来の待合室の椅子の前脚が早く擦り切れ短くなっているのを見つけ、待つことにイライラしたり、呼ばれたらすぐに立ち上がれるように浅く腰掛けたりする患者さんが多いことに気づいたのです。
これが、A、B、C、Dの4種類に分けた性格のうち、いわゆる「タイプA」がとる行動パターンです。「タイプA」の特徴としては、「達成欲求感が強い」「時間的切迫感がある」「競争心や野心が強い」「攻撃性が高い」「いつもイライラする」などがあり、このような性格の人は要注意です。
仕事に没頭し、頑張り屋で負けず嫌いの「タイプA」の人はストレスをためやすく、それが血圧上昇や心拍数の増加につながり、心筋梗塞を発症するのです。
しかし、数多くの心筋梗塞の患者さんを診てきた私から見ると、そうとばかりはいえません。「タイプA」の人ばかりではないのです。
実際に心筋梗塞を起こしてしまった人に、「何か思い当たることはありませんか?」と尋ねると、「仕事で強いストレスが続いていた」とか、「忙しくて睡眠不足が続き、とても疲れていた」などという声をたくさん聞きました。
リアルな診療の現場から見ると、性格に関係なく、このようにストレスをため込んだカラダこそが、心筋梗塞の発症に大きく関与していると実感しています。
心筋梗塞リスクが高い近年注目の性格タイプ
ちなみに、「タイプBはAの逆で泰然自若とした性格、「タイプC」は感情を表に出さないか抑え込む性格を指すようです。
ついでに加えておくと、近年、「タイプD」の性格が注目を集めています。それは、最も後ろ向きになる感情が強く、クヨクヨしがちで、対人関係に不安をもちやすい寡黙なタイプです。ここに属する人は、狭心症や心筋梗塞を発症するリスクが3倍も高いという研究結果があります(119)。
いっぽう岡山県の調査では、65歳以上の46.3%が「タイプD」だったとする結果が出ています(120)。このような人は、健康診断や診療の際に医師と円滑なコミュニケーションをとるのが苦手で、受診さえしにくくなっているケースも多く、ますます注意が必要です。
とはいえ、「100年寿命」を全うするには、そんな話を聞いてクヨクヨしている場合ではありません。