「肉食」でも心筋梗塞が少ないイヌイット。その食生活から判明した「リスクを下げる栄養素」

魚を食べなくなった日本人

昔の日本人はよく魚を食べていました。1950年代にはEPAをたくさん摂取していたわけです。それが食の欧米化が進み、だんだん魚を食べなくなるとともに、EPAの摂取量も減ってきました。すると、その量に反比例して、心筋梗塞と脳梗塞の患者さんが激増していったのです。

この歴然とした結果から、「EPAを減らすと血管が詰まる病気になりやすい」ということが、日本でも認識されるようになりました。

実際に、1990年から約11年間の厚生労働省研究班による調査で、魚を週に8食食べる人は、1食しか食べない人と比べて心筋梗塞を発症する危険性が60%も低いことがわかりました。

参考文献:53) "Keys A,et al.Epidemiological studies related to coronary heart disease:characteristics of menaged40-59 in seven countries.Acta Med Scand 1966;460(Suppl):1-392"
54) "H O Bang, J Dyerberg,et al.The composition of the Eskimo food in north western Greenland.Am
J Clin Nutr. 1980 Dec;33(12):2657-61."

 

大島一太

医師・医学博士。大島医院院長、東京医科大学循環器内科学分野、東京医科大学八王子医療センター循環器内科兼任講師、日本看護協会看護研修学校非常勤講師、日本循環器学会心不全療養指導士実務部委員、日本心臓病学会特別正会員・フェロー・心臓病上級臨床医、Japan Cardiology Clinic Network理事など。平成8年東京医科大学卒業、同大学院修了。聖路加国際病院循環器内科、東京医科大学八王子医療センター循環器内科、東京医科大学病院循環器内科に勤務。日本循環器学会や日本心臓病学会、日本不整脈心電学会、日本集中治療医学会、日本救急医学会など、多くの学術集会で教育講演を行い、シンポジスト、座長、査読委員などを歴任。医学系専門誌への執筆は100編以上、その他、健康誌、スポーツ誌など多数執筆。

※本記事は大島一太著の書籍『100歳まで元気でいたければ心臓力を鍛えなさい』(かんき出版)から一部抜粋・編集しました。
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