【本作を第1話から読む】体に付く脂肪は1種類じゃない!? 「内臓脂肪」が「皮下脂肪」より厄介な理由
『100歳まで元気でいたければ心臓力を鍛えなさい』 (大島一太/かんき出版)第2回【全8回】
心臓は私たちの身体に欠かせない臓器で、止まることなく働き続ける「命の泉」のような存在です。『100歳まで元気でいたければ心臓力を鍛えなさい』の著者で、心臓をテーマにした多くの著書を持つ循環器科医・大島一太さんによれば、長生きするには心臓の健康が不可欠であり、日々の生活を意識することが重要だそう。本稿では基本として覚えておきたいトピックを紹介します。
※本記事は大島一太著の書籍『100歳まで元気でいたければ心臓力を鍛えなさい』(かんき出版)から一部抜粋・編集しました。
真のサイレントキラー「第3の脂肪」の正体
痩せていても、コレステロール値が高くて血管が詰まる人はたくさんいます。その原因は何なのか......それが長年の課題でした。
脂肪を蓄積する能力には人種差、民族差があると考えられており、国別BMIを見ると、多くの先進国が25以上であるのに対し、日本人女性は平均21.9と、世界で最も痩せ型といわれています。でも、そんなスマートな人たちのなかにも、心筋梗塞になってしまった人はたくさんいます。
その原因のひとつが異所性脂肪であり、これが「第3の脂肪」です。異所性脂肪は、正真正銘のサイレントキラーです。
カラダの器が大きな欧米人は、太り始めるとどんどん外側にふくらんでいき、そこに脂肪をたくわえることができますが、日本人は器が小さく、脂肪組織におさまりきれない脂肪が、通常ではありえない場所(「異所」)にたまってしまいます。
どこにたまるのかというと、おもに臓器と筋肉。肝臓や心臓、膵臓といった内臓に加え、関節まわりの骨に付いている骨格筋などに脂肪が付着してしまうのです。
肝臓に付いたら脂肪肝、ひいては肝臓ガンや肝硬変になりますし、膵臓や筋肉に付いたら糖尿病、心臓周囲に脂肪が蓄積すると心臓のポンプ力が低下して心不全になったり、狭心症や心筋梗塞を発症させてしまいます。
メタボは広く注目されてきましたが、いっぽうで見た目がスリムでも、必ずしも安心はできません。「第3の脂肪」に注意してください。