病気やけがをしたとき、それに関する用語(病名・症状など)の意味をそもそも知らなかった、なんてことはありませんか? また、時代の流れとともに「ADHD」「ノロウィルス」など新しい用語もどんどん現れています。
書籍『やさしい家庭の医学 早わかり事典』で、病気や健康分野の正しい知識を身につけ、いざというときに役立てましょう。
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肺胞の外側部分などが炎症を起こす肺炎
「間質性肺炎」
●「間質」とはどこの部分?
息を吸ったり吐(は)いたりすることを「呼吸」といいます。呼吸をすると、鼻や口から空気が入り、のど(咽頭-いんとう・喉頭-こうとう)を通って気管へ達し、そこから左右に分かれた気管支に入って、最後に肺に達します。
気管支の先端を肺胞(はいほう)といいますが、これは小さな袋状のもので、この部分で酸素と二酸化炭素の交換が行なわれています。これを「ガス交換」といいます。このガス交換によって、私たちは酸素を取り入れ、二酸化炭素を吐き出すことができているわけです。
この肺胞の外側部分や細気管支《気管支の末端と肺胞を繋(つな)ぐ部分》の周囲などにある組織をまとめて「間質(かんしつ)」と呼んでいますが、この間質に炎症が起こることによって、息切れや乾いたせきが出ることがあります。これを「間質性肺炎」と呼んでいます。
なお、一般的に肺炎といわれているのは肺胞が細菌やウイルスによって炎症を起こしたものです。
間質性肺炎に罹(かか)る原因は、放射性肺炎《放射線照射によって起こる肺炎》や薬剤性肺炎《抗がん剤や抗生物質など、薬物が原因で起こる肺炎》、ウイルス性肺炎、膠原病(こうげんびょう)などに伴い炎症が起こると、それが刺激となって発症するとされていますが、原因が特定できない間質性肺炎も少なくないようです。患者さんの多くは50~60歳代が多いとされています。
症状としては先述のもののほか、呼吸困難や微熱、倦怠(けんたい)感などが挙げられます。急性の場合は、呼吸困難や心不全を引き起こすこともありますので注意が必要です。
慢性の間質性肺炎の場合、現段階では副腎皮質(ふくじんひしつ)ホルモン剤による治療にある程度の効果が認められるとされますが、治療は長期にわたりそうです。