突然襲いかかる魔女の一撃! 「ぎっくり腰」になったらどうする?/やさしい家庭の医学

pixta_39808917_S.jpg病気やけがをしたとき、それに関する用語(病名・症状など)の意味をそもそも知らなかった、なんてことはありませんか? また、時代の流れとともに「ADHD」「ノロウィルス」など新しい用語もどんどん現れています。

書籍『やさしい家庭の医学 早わかり事典』で、病気や健康分野の正しい知識を身につけ、いざというときに役立てましょう。

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腰を支える筋肉やじん帯が断裂した状態

「ぎっくり腰」

●ドイツ語では「魔女の一撃」

急に重いものを持ち上げた瞬間、激しい腰の痛みに襲われる。これは俗に「ぎっくり腰」と呼ばれる症状で、病院では急性腰痛症や筋膜性腰痛症ともいわれます。

ドイツ語では、一瞬で激しい痛みを感じることから「魔女の一撃」ともいわれています。ぎっくり腰はそれほど恐ろしい症状といえます。

ぎっくり腰は、先述のように重い荷物を持ち上げたことによって起こることが少なくありませんが、そのほか、せきやくしゃみ、洗顔の最中にも起こりえますし、椅子(す)に座った状態で周りのものを取ろうと腰を動かした瞬間に起こることもあります。また、朝、ベッドや布団から起き上がろうとしたときに発症することもあるほどです。日常生活において、起こる可能性が少なくないのがぎっくり腰といえるでしょう。

ぎっくり腰になると激痛が走るのは、腰を支える筋肉やじん帯が断裂を起こし、それが神経を刺激するためです。関節に強い力が加わり、じん帯や、関節を包んでいる組織が損傷を受けることを「ねんざ」といいますが、それと同じことが腰に起こった状態といえます。ぎっくり腰はいわば「腰のねんざ」と言い替えることができるでしょう。

ぎっくり腰に罹(かか)ると、その場から動くことができなくなるほどの痛みを感じます。発症直後はできるだけ動かず、体を横向きにしてとにかく安静にしていましょう。2~3日後には痛みが徐々に和らいできますので、それから病院へ行くのがよいとされます。

また、痛いからといってマッサージをしてしまうと逆効果ですし、患部は炎症を起こしている状態ですので、風呂に入るのもはじめのうちは極力控えましょう。湿布(しっぷ)については、先述の理由から、一般的には冷湿布の方が適していると思われます。

以前は、ぎっくり腰になったらその後もとにかく安静にしておいたほうがよいといわれてきましたが、現在では、早めに動き出したほうが回復も早いとされているようです。無理のない程度に家の中を歩き、機を見て病院で診みてもらうようにするとよいでしょう。

なお、腰の痛み以外に血尿が出たり、排尿障害が出た場合は、ぎっくり腰の症状とは別に、椎間板(ついかんばん)ヘルニアや脊髄(せきずい)の腫瘍(しゅよう)、尿路結石などの疑いもありますので、病院で検査を受けてみてはいかがでしょうか。

 

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中原 英臣(なかはら・ひでおみ)

1945年、東京生まれ。医学博士。ニューヨーク科学アカデミー会員。東京慈恵会医科大学卒業。77 年から2 年間、アメリカ(セントルイス)のワシントン大学にてバイオ研究に取り組む。その後、山梨医科大学助教授、山野美容芸術短期大学教授を経て、現在、新渡戸文化短期大学学長、早稲田大学講師。おもな著書に『ウイルス感染から身を守る方法』(河出書房新社)、『こんな健康法はおやめなさい』(PHP 研究所)、『テレビじゃ言えない健康話のウソ』(文藝春秋)などがある。


 

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この記事は書籍 『やさしい家庭の医学 早わかり事典』からの抜粋です

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