飲み込んだものが気管へ入ってしまう「誤えん」は、すぐに対処しないと肺にダメージを与えてしまうことも。自分一人で対処することは難しいので、家族や身近な人のためにも予防法と正しい応急処置を覚えておきましょう。
誤えんの正しい応急処置法
昨年放送された「世界一受けたい授業」(日本テレビ系)では、高齢者に起こりやすい「誤えん」の危険性と対処方法を紹介。誤えんが起きやすくなる原因や正しい応急処置について取り上げられました。
高齢者の肺炎のうち、約7割の原因が誤えん。食べ物や唾液などが肺に入ることで、肺の中で炎症がおきて肺炎に発展してしまうのです。誤えんは窒息を起こす可能性も高いため、高齢者だけでなく若い人や子供でも注意が必要。東海大学の客員教授・西山耕一郎先生は、誤えんした人に対する正しい対処法をレクチャーしました。
先生によると、誤えんが起きたことが分かったら、まずは患者が呼吸をしているかを確認。その後上半身を前に倒し、背中をたたいて咳を促します。体を起こしたまま背中を叩くのは、異物が肺に落ちてしまうためとても危険な行為。気道が水平になるような姿勢で、出来たら口の中に異物が見えないかもチェックしたほうがよいそうです。
飲み込む力
西山先生曰く、誤えんが起きるのは飲み込む力が弱くなっているから。以下の5つのチェック項目のうち、2つに当てはまったら飲み込む力が衰えている証拠かもしれません。
・ペットボトル飲料を上を向いて飲むとよくむせる
・声をかけたのに無視されることが多い
・歩くスピードが遅くなった
・大きめの錠剤を飲みにくく感じる
・食事を終えた直後ガラガラ声になる
チェック項目以外にも、筋肉の衰えを見るためにのど仏をチェックする方法が。のど仏の理想の位置は首の中央より上側で、下がっている人はその分のどの筋肉が弱まっているということになります。女性ののど仏は非常に分かりづらいのですが、のどに指を添え、「イー」と声を出すと突起が確認できるはず。
のどの筋肉は鍛えることが可能です。下あごに両手の親指を押し当て、あごを引く力を押し返しながら「イー」と声を出してのど仏に5秒間力を入れる体操がおすすめ。「むせやすいからちゃんと鍛えておこう!」「応急処置から予防法まで教えてくれて助かった」「おばあちゃんにもおすすめしてみよう」と、視聴者にも大好評でした。食事を美味しく食べるためにも、のどを鍛えて誤えんを防いでいきたいですね。
文/藤江由美