自治体や職場などで、毎年受けている人も多い健康診断(健診)ですが、そういった検査で は、どの程度精密に病気を診断できるのでしょう? 医療法人社団・同友会理事長の髙谷典秀先生に、最新の健診事情を教えていただきました。
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リスクが増す50代からは早期発見で病気を予防
健康の維持や管理のために健康診断を受けましょうとお話ししました。ですが、自治体などで受けられる特定健診や追加の検査だけでは、50代以上に多い病気の有無や部位の特定といった診断は不十分です。では、どんな検査が必要なのでしょう?
「特に50歳以上の方は、生活習慣病プラスがん対策のための検査が必要です」と、医療法人社団・同友会理事長の髙谷典秀先生。
がん検診には大きく分けて、対策型検診と任意型検診という2種類があります。
対策型は、自治体などが予防対策として行う検査のこと。検査費用に公的な補助が出るため、比較的安価な自己負担額で受診できます。
一方、任意型は、人間ドックなど医療機関が、任意で提供する医療サービス。さまざまな検診方法があり、がんの有無や部位の特定といった診断までを目的としています。一般的に補助金額は少なく、自己負担額は高額になりますが、自分の目的に合わせた検査を選ぶことができます。
「がん検診と一言で言っても検査はさまざまあります。そこで、まずおすすめしたいのは、日本人の罹患率が高い"胃" "肺" "大腸"を対象とした検査の受診です。50歳を超えるとがんのリスクは高まりますので、胃がんでは、より早期のがんや小さなポリープを見つけられる内視鏡検査に比重を置くのがいいでしょう。肺がんは、肺全体を精密に撮影し、早期発見をかなえるCT検査が有効です。大腸がんは、便潜血検査が主流ですが、大腸内視鏡検査を加えましょう。大腸がんの進行は緩やかなので、異常がなければ、毎年でなくても数年に1回、内視鏡の検査を加えれば早期発見が可能になります。また、内視鏡検査では、がん化する恐れがある腫瘍やポリープをその場で処置できるのも大きなメリットです」(髙谷先生)。
がん検診の他にも、50代になったら必ず受けておきたいのが、動脈硬化や緑内障対策のための検査、女性に多い甲状腺の病気を調べる検査、そして脳卒中や脳腫瘍などのリスクを調べる脳ドックです。いま自分に必要な検査は何かを知り、病気を発症する前に受診することが、健康維持につながります。
(自治体)自治体で受けられる追加検査
(人間ドック)人間ドックなどで受けられる検査
※費用の目安は自費の場合
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取材・文/笑(寳田真由美)
髙谷典秀(たかや・のりひで)さん
医療法人 社団・同友会理事長、日本人間ドック健診協会理事、医学博士。年間50万件を超える健診を実施し、多くの企業 健保組合の産業医、保健指導 業務の支援を行う。