しっかり眠れていないと認知症のリスクも!「脳と体が若返る睡眠」のための食事テク【脳神経外科医が解説】

"脳と身体が若返る睡眠"は食事から

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睡眠と食欲に関係する
脳内物質「オレキシン」

熟睡の習慣のカギを握るのが、「オレキシン」(下記参照)を中心とした神経伝達物質です。

「オレキシンは、さまざまな脳内物質と相互に作用して覚醒と睡眠をコントロールする〝司令塔〞です。活性化されると覚醒にかかわる神経伝達物質に『目覚めよ』と指令する一方、睡眠を促す神経伝達物質ともバランスを取り、抑制されると体を休めるモード(眠る状態)へと導きます」と、奥村先生。

「オレキシンは摂食行動もコントロールし、『レプチン』や『グレリン』(下記参照)など体の代謝にかかわるホルモンによっても制御されています」とも。

つまり、睡眠と食事には大きなかかわりがあるということ。

まずは食習慣を改善して睡眠力を高めましょう。

「オレキシン」のコントロールがカギ。
「レプチン」と「グレリン」をバランスよく

<キーワード1>睡眠と覚醒の司令塔・オレキシン
1998(平成10)年、筑波大学の柳沢正史教授と櫻井武教授によって発見された神経伝達物質の一つ。生命を維持するために大切な脳の視床下部で働き、摂食や体温調節などの中枢を担う他、睡眠や覚醒に大きく関係する物質として働いています。

<キーワード2>満腹ホルモン・レプチン
1998(平成10)年、筑波大学の柳沢正史教授と櫻井武教授によって発見された神経伝達物質の一つ。生命を維持するために大切な脳の視床下部で働き、摂食や体温調節などの中枢を担う他、睡眠や覚醒に大きく関係する物質として働いています。

<キーワード3>空腹ホルモン・グレリン
食欲を亢進させるホルモン。空腹時に胃から分泌され、血液中を通って脳に作用して食欲を刺激し、空腹感をもたらします。血糖値やレプチン値が低いこの状態のとき、オレキシンは活性化。脳に覚醒の指令が出され、眠れなくなってしまいます。

決まった時間によくかんで味わって食べる

しっかり眠れていないと認知症のリスクも!「脳と体が若返る睡眠」のための食事テク【脳神経外科医が解説】 2410_P006_02.jpg規則正しく、おいしく味わって食事をすると、オレキシンのコントロールに役立つといわれています。「夕食は就寝の4〜5時間前に食べ終えるのが理想ですが、家族形態や仕事の仕方にもよるので、寝る直前でなければ、何時間前ととらわれなくてOK。楽しくおいしく食べることが大切です」

構成・取材・文/岡田知子(BLOOM) イラスト/藤田ヒロコ

 

<教えてくれた人>

おくむらメモリークリニック理事長
奥村 歩(おくむら・あゆみ)先生

脳神経外科医、医学博士。米国・ノースカロライナ神経科学センターに留学後、岐阜大学附属病院 脳神経外科病棟 医長併任講師などを経て、2008年より現職。『スマホ脳・脳過労からあなたを救う 脳のゴミを洗い流す「熟睡習慣」』など著書多数。

※この記事は紙&WEBマガジン『毎日が発見』2024年10月号に掲載の情報です。

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