2025年には、認知症の患者数は約700万人となり、中でも6割以上を占めるのがアルツハイマー病です。
「レカネマブは、アルツハイマー病の原因となるアミロイドβ(ベータ)というたんぱく質を取り除き、進行を抑える薬です。残念ながら、すでに低下した認知機能を元に戻す効果はありません。使用できるのは、アルツハイマー型の軽度認知障害(MCI)または軽度の認知症の人で、なおかつ脳内にアミロイドβが蓄積されていると診断された場合のみになります」と、羽生春夫先生。
18カ月間の臨床試験によると、レカネマブの治療によって病気の進行を7.5カ月遅らせる効果が見込まれたといいます。
もっとも、副作用もあります。
点滴直後の発熱や倦怠感の他、脳内で出血が起こったり、脳がむくんだ状態になることも。
深刻な副作用が見られる場合は、投与の中断や中止も必要です。
治療を受けられる医療機関は、認知症の専門医がいることやMRIで脳画像を撮影する検査ができることに加え、アミロイドβの蓄積を確認するためのPET(ペット)検査や脳脊髄液検査に対応できることが条件。
治療を希望する場合は、かかりつけ医や市区町村の相談窓口である地域包括支援センターに認知症の専門医を紹介してもらうのが近道です。
構成・取材・文/寳田真由美(オフィス・エム) イラスト/坂木浩子