かゆい=白癬ではありません。ニセ水虫にご注意/白癬菌

pixta_34950862_S.jpg足の指の間がかゆい、水ぶくれができる、皮がむける...これらはすべて水虫の症状です。日本人の5人に1人が水虫に感染しているといわれています。水虫の原因は「白癬菌(はくせんきん)」というカビ(真菌・しんきん)です。白癬菌による感染症を「白癬」といい、実はこのカビ、足だけでなく手や頭など体のいろいろなところに棲みつくことができるのです。

そんな白癬菌の性質や特徴、治療法や予防法を、白癬治療の第一人者、仲皮フ科クリニック院長の仲 弥先生に伺いました。

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ニセ水虫の代表格は、異汗性湿疹です

かゆみがあったり、水疱ができたりすると水虫かなと思って来院される方がたくさんいます。しかし、かゆければ水虫というわけではありません。水虫にそっくりな症状を起こすニセ水虫があります。その最たるものが「異汗性湿疹(いかんせいしっしん)」です。

異汗性湿疹は、手のひらや足に汗をかきやすい体質の人に多く見られる湿疹です。特に指の側面に多くでき、皮がむけたり、水疱ができたり、かゆみを起こしたり、小さな水疱が集まって大きな水疱にもなり、医師でも見た目だけでどちらの病気かを見極めるのは難しいほど水虫と非常によく似た症状を起こします。

自身の判断で水虫だと思い込み、水虫ではないのに外用抗真菌薬を塗っている人もいます。しかし、異汗性湿疹に水虫の薬を塗っても、効果は全く見られません。医師でも水虫との見極めが難しい湿疹ですので、皮膚科で白癬菌の有無を検査して治療をするようにしてください。特に市販されている水虫の外用薬を塗っていても改善が見られないときは、水虫ではない病気の可能性が高いでしょう。

そしてやっかいなことに、異汗性湿疹になる人は、汗をかきやすい体質ということから水虫にもなりやすく、合併している方が多くいます。湿疹が起きているところに白癬菌が付きやすいのです。この場合、顕微鏡検査で白癬菌が検出されるため、異汗性湿疹は見過ごされることが多いです。治療で白癬は改善しますが、白癬の治療では異汗性湿疹は治らないために湿疹の症状は残り、白癬が改善していないように見えます。

このように薬が効かないような場合は、治療の途中で白癬菌の有無を再度検査します。白癬菌がいなければ白癬は治っているが、異汗性湿疹(または他の病気)の併発が疑われるということです。

医師によっては薬が効かないと思い込んでしまい、再検査を行わずにいろいろな薬を試すことになる患者さんもいるようです。白癬の薬で異汗性湿疹が悪化する場合もありますので、不安がある場合は再度検査をしてほしいと医師にきちんと伝えましょう。

 

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取材・文/ほなみかおり

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仲 弥(なか・わたる)先生

慶應義塾大学医学部卒業後、慶應義塾大学医学部皮膚科医長、同・皮膚科専任講師を経て、1996年に仲皮フ科クリニック(埼玉県川越市)を開業。真菌のエキスパートとしてメディアに多数出演。埼玉県皮膚科医会会長、日本臨床皮膚科医会参与(前副会長)、日本皮膚科学会代議員、埼玉県皮膚科治療学会理事、日本医真菌学会評議員、日本皮膚科学会認定専門医。

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