足の指の間がかゆい、水ぶくれができる、皮がむける...これらはすべて水虫の症状です。日本人の5人に1人が水虫に感染しているといわれています。水虫の原因は「白癬菌(はくせんきん)」というカビ(真菌・しんきん)です。白癬菌による感染症を「白癬」といい、実はこのカビ、足だけでなく手や頭など体のいろいろなところに棲みつくことができるのです。
そんな白癬菌の性質や特徴、治療法や予防法を、白癬治療の第一人者、仲皮フ科クリニック院長の仲 弥先生に伺いました。
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こまめな掃除が家庭内の感染を防ぎます!
白癬菌は温泉施設など不特定多数の人が素足で過ごす場所には必ずいること、また感染予防には24時間以内に足を洗うことが大切だとお話ししました。
しかし実は、日本で一番多いのは"家庭内感染"です。日本人は、家の中では素足で生活する文化があります。それが水虫に感染するもととなっているのです。家族の誰かが白癬菌を持っている場合、その人が素足で歩きまわるということは、家の中に白癬菌をばらまきながら生活しているということなのです。
もちろん、子どもにも感染します。特に最近の子どもは学校以外にも塾へ行くなどし、靴を履いている時間が昔よりも長くなっています。足が湿気の多い状態に長時間置かれることが多くなっているのです。子どもの水虫は決して珍しいことではありません。
家庭内の感染を防ぐには、白癬菌を家の中にばらまかないことが大切です。
そのためには次のことに注意して生活してください。
●白癬菌に感染している人は靴下を履きましょう。
白癬菌をばらまかないように家の中でも靴下の着用を。網目が荒いものだと菌が落ちてしまうので、目が細かいものがおすすめです。
●スリッパやサンダルの共有は避けましょう。
残っている白癬菌が別の人の足に付着してしまいますので、スリッパやサンダルは個々に用意しましょう。
●靴は2~3足を履きまわしましょう。
靴の中は湿度が高く、白癬菌が繁殖しやすい環境です。同じ靴ばかり履かず、履いた靴は休ませて、乾燥させましょう。
●ぞうきんや掃除機で菌を取り除きましょう。
白癬菌はアカに潜んでいますので、ぞうきんで取り除いたり掃除機で除去することができます。靴やスリッパはぞうきんで拭いて乾かし、部屋は床の端、畳の目の間など、隅々まで掃除機をかけましょう。
●バスマットはこまめに洗いましょう。
風呂場のマットは白癬菌の温床になりやすいです。白癬菌は水で洗い流せるので、こまめに洗いましょう。
白癬菌をうつさないように心掛けることが家族内のマナーです。しかし、家族の中で菌を保有している人が、上記のようなことに協力をしてくれなかったらどうすればいいでしょう。
感染していない人も、1週間に1回、水虫用の外用薬を足に塗ることで予防効果が期待できます。足裏全体と指の間に塗りましょう。白癬菌が付着しないように靴下をはいてもいいですね。
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取材・文/ほなみかおり
慶應義塾大学医学部卒業後、慶應義塾大学医学部皮膚科医長、同・皮膚科専任講師を経て、1996年に仲皮フ科クリニック(埼玉県川越市)を開業。真菌のエキスパートとしてメディアに多数出演。埼玉県皮膚科医会会長、日本臨床皮膚科医会参与(前副会長)、日本皮膚科学会代議員、埼玉県皮膚科治療学会理事、日本医真菌学会評議員、日本皮膚科学会認定専門医。