病気やけがをしたとき、それに関する用語(病名・症状など)の意味をそもそも知らなかった、なんてことはありませんか? また、時代の流れとともに「ADHD」「ノロウィルス」など新しい用語もどんどん現れています。
書籍『やさしい家庭の医学 早わかり事典』で、病気や健康分野の正しい知識を身につけ、いざというときに役立てましょう。
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高尿酸血症の状態が長く続いて起こる
「痛風」
●足の親指の付け根が痛む
「痛風」は、かつてはぜいたく病のようにいわれてきましたが、食生活が豊かになった現在では誰にでも起こりうる病気になっています。
痛風とは、高尿酸血症の状態が長く続くことで起こる病気です。高尿酸血症とは、血液中に尿酸が増えすぎた状態のことですが、尿酸がつくられすぎたり、排泄がうまくいかない場合に高尿酸血症に罹(かか)ることになります。
痛風はある日突然、足の親指の付け根の関節に激しい痛みを伴って発症します。また、足の付け根のほか、ひじやひざ、手首などに発症することもあります。足の親指の付け根に痛みが伴う場合などは、赤く腫(は)れ上がり、靴を履はくこともできなくなります。
激しい痛みは1~3日ほど続きますが、1週間ほどすると炎症も治まり、症状が和らいできます。ですが、症状をそのまま放っておくと悪化し、痛風結節が出てくることもあります。
痛風結節とは、手足の関節や腱(けん)、皮下など体温の低い箇所に尿酸塩が沈着し、こぶ状に腫れるもので、痛風の患者さんのすべてに発症するとはかぎりませんが、そのままにしておくとどんどん大きくなりますので早期の治療が必要になってきます。治療が遅れると、関節が変形したり、手足の動きが不自由になることだってあるのです。
痛風の治療には、原則として薬によるものが考えられています。尿酸値を下げるためには、尿酸排泄(はいせつ)促進薬や尿酸生成阻害(そがい)薬などが用いられます。
ですが、痛風を改善するためにもっとも必要なのは、食生活や日常生活などのライフスタイルを見直すこと。脂っこいものや塩分の多いものなどの摂取(せっしゅ)を極力抑え、お酒も控えたほうがよいでしょう。
ちなみに、痛風を引き起こすお酒は、何もビールだけとはかぎらず、日本酒やワインも同様とされます。アルコールを摂取したことによって尿という形で体の水分が失われるため、血液中に尿酸が多く溜まることになるわけです。
ストレスを多く抱え込んだり、肥満になるのも、痛風のもととなる高尿酸血症の原因ともいわれています。
痛風を予防するよい方法の一つが、水分を多く摂るというものです。炎天下に長時間いて、激しい運動などをすると痛風の発作が起こりやすくなります。日々の生活を改めてみることが大切です。
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中原 英臣(なかはら・ひでおみ)
1945年、東京生まれ。医学博士。ニューヨーク科学アカデミー会員。東京慈恵会医科大学卒業。77 年から2 年間、アメリカ(セントルイス)のワシントン大学にてバイオ研究に取り組む。その後、山梨医科大学助教授、山野美容芸術短期大学教授を経て、現在、新渡戸文化短期大学学長、早稲田大学講師。おもな著書に『ウイルス感染から身を守る方法』(河出書房新社)、『こんな健康法はおやめなさい』(PHP 研究所)、『テレビじゃ言えない健康話のウソ』(文藝春秋)などがある。
『やさしい家庭の医学 早わかり事典』
(中原英臣[監修]/KADOKAWA)
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