めまいや立ちくらみが頻繁に続くようなら治療を。「低血圧症」/やさしい家庭の医学

めまいや立ちくらみが頻繁に続くようなら治療を。「低血圧症」/やさしい家庭の医学 pixta_20886258_S.jpg病気やけがをしたとき、それに関する用語(病名・症状など)の意味をそもそも知らなかった、なんてことはありませんか? また、時代の流れとともに「ADHD」「ノロウィルス」など新しい用語もどんどん現れています。

書籍『やさしい家庭の医学 早わかり事典』で、病気や健康分野の正しい知識を身につけ、いざというときに役立てましょう。

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基本的には治療の必要がない病気
「低血圧症」

●「よっこらしょ」という意味

血圧の最高が100より低く、最低が60以下の場合を「低血圧症」と呼びます。高血圧症とは異なり、低血圧症は体にそれほど重大な影響を及ぼすことはありませんので、早急に治す必要はないものと思われます。

低血圧症には慢性低血圧症と起立性低血圧症とに大別され、さらに、慢性低血圧症は本態性低血圧症と症候性低血圧症とに分かれます。

本態性低血圧症とは、低血圧症のうちのほとんどをさし、原因がよくわかっていない場合がほとんどです。体質的なものともいえますが、自覚症状としては、頭痛や肩こり、食欲不振などが挙げられます。

この場合、治療は必要なく、食事療法や十分な睡眠を取るなどして改善に向けて努力します。

症候性低血圧症とは、心筋梗塞(しんきんこうそく)や心不全など、心臓の病気に伴って起こる心機能の低下や、内分泌器官の病気などによって引き起こされます。頭痛や肩こりに加えて、めまいや動悸(どうき)なども起こる場合があります。この場合の低血圧症は二次的な症状と考えられますので、病院での診察によって、低血圧症の原因となっている病気の発見が必要になってきます。

起立性低血圧症とは、急に立ち上がったときに起こる、いわゆる「立ちくらみ」です。急に体を立ち上がらせることによって、重力により下半身に血液が下がりますが、それが心臓に戻らなくなるため、血圧が下がってしまうわけです。これには、そのもととなる病気がある場合とない場合がありますので、一概に治療が必要というわけではありません。

めまいや立ちくらみが頻繁(ひんぱん)に続くようであれば、医師による治療が必要になるでしょう。

ちなみに、お年寄りなどは身を起こす前に「よっこらしょ」と掛け声をかけることがありますが、あれは立ち上がる前にワンクッション置いていることになりますので、実は立ちくらみを予防するのに役立っていることともいえます。

 

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中原 英臣(なかはら・ひでおみ)

1945年、東京生まれ。医学博士。ニューヨーク科学アカデミー会員。東京慈恵会医科大学卒業。77 年から2 年間、アメリカ(セントルイス)のワシントン大学にてバイオ研究に取り組む。その後、山梨医科大学助教授、山野美容芸術短期大学教授を経て、現在、新渡戸文化短期大学学長、早稲田大学講師。おもな著書に『ウイルス感染から身を守る方法』(河出書房新社)、『こんな健康法はおやめなさい』(PHP 研究所)、『テレビじゃ言えない健康話のウソ』(文藝春秋)などがある。

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『やさしい家庭の医学 早わかり事典』
(中原英臣[監修]/KADOKAWA)


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この記事は書籍 『やさしい家庭の医学 早わかり事典』からの抜粋です

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