60歳代では70%もの人が前立腺がんを持っている⁉/やさしい家庭の医学

pixta_11926326_S.jpg病気やけがをしたとき、それに関する用語(病名・症状など)の意味をそもそも知らなかった、なんてことはありませんか? また、時代の流れとともに「ADHD」「ノロウィルス」など新しい用語もどんどん現れています。

書籍『やさしい家庭の医学 早わかり事典』で、病気や健康分野の正しい知識を身につけ、いざというときに役立てましょう。

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無症状のため、見つかりにくいがん
「前立腺がん」

●尿が出にくくなったら

前立腺は男性のみが持っている臓器で、膀胱(ぼうこう)の真下にあり、中を尿道が通っています。クルミの実ぐらいの大きさで、精液の一部をつくっています。

前立腺がん」は、前立腺の外側の外腺に発生するもので、50歳以上の男性によく見られます。前立腺がんはもともと欧米人に多く見られる病気でしたが、現在では日本でも急増しています。骨やリンパ節に転移することが多いため、早期発見に越したことはありません。

前立腺がんが見つかりにくい要因としては、無症状ということが挙げられます。そのうち、尿に勢いがなくなったり、頻尿(ひんにょう)、排尿時の痛みなどが症状に出てきますが、これらは前立腺肥大症の症状とよく似ているため、発見が遅くなるといえます。

これらの症状が進行すると、尿が出なくなったり(閉尿)、血尿が出るようになってきます。

前立腺がんに罹(かか)る原因の一つは老化で、60歳代では70%もの人が前立腺がんを持っているともいわれます。また、脂肪を多く摂(と)ることも前立腺がんの発症と関わりが深いといわれていますので、食事に気をつけるのも予防の一つでしょう。

前立腺がんを早期発見するには前立腺特異抗原(PSA)測定を行なうのがもっとも効果的ですが、先述のように、年齢を重ねてくると前立腺がんの可能性が高まるわけですから、進行具合を確認するのに有効な検査といえるかもしれません。

手術としては、前立腺の全摘出手術が多く取られます。精液をつくる臓器である前立腺と精嚢腺(せいのうせん)を摘出してしまうため、術後の受精はできなくなりますが、転移や再発を防ぐ手段にはなるでしょう。

また、進行している場合は放射線療法や女性ホルモンの長期投与などが考えられます。前立腺がんには男性ホルモンが関与しているとされますので、女性ホルモンの投与が必要になってくるわけです。

 

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中原 英臣(なかはら・ひでおみ)

1945年、東京生まれ。医学博士。ニューヨーク科学アカデミー会員。東京慈恵会医科大学卒業。77 年から2 年間、アメリカ(セントルイス)のワシントン大学にてバイオ研究に取り組む。その後、山梨医科大学助教授、山野美容芸術短期大学教授を経て、現在、新渡戸文化短期大学学長、早稲田大学講師。おもな著書に『ウイルス感染から身を守る方法』(河出書房新社)、『こんな健康法はおやめなさい』(PHP 研究所)、『テレビじゃ言えない健康話のウソ』(文藝春秋)などがある。

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『やさしい家庭の医学 早わかり事典』
(中原英臣[監修]/KADOKAWA)


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この記事は書籍 『やさしい家庭の医学 早わかり事典』からの抜粋です
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