高血圧や心臓病などの重病が隠れているかも⁉ 「睡眠時無呼吸症候群」/やさしい家庭の医学

高血圧や心臓病などの重病が隠れているかも⁉ 「睡眠時無呼吸症候群」/やさしい家庭の医学 pixta_27382910_S.jpg病気やけがをしたとき、それに関する用語(病名・症状など)の意味をそもそも知らなかった、なんてことはありませんか? また、時代の流れとともに「ADHD」「ノロウィルス」など新しい用語もどんどん現れています。

書籍『やさしい家庭の医学 早わかり事典』で、病気や健康分野の正しい知識を身につけ、いざというときに役立てましょう。

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寝ている間に呼吸が10秒以上止まる
「睡眠時無呼吸症候群」

●日中に眠くなってしまうことも
日中、仕事をしているときや、車を運転している際に赤信号で止まったときに急に眠くなってしまったなどといった症状の場合、もしかしたらそれは「睡眠時無呼吸症候群」の可能性があります。

睡眠時無呼吸症候群は「Sleep ApneaSyndrome」の略で、その頭文字を取ってSASとも呼ばれます。睡眠中、のどの周囲の筋肉の活動が低下することによってのどがふさがってしまい、それによって無呼吸や低呼吸の状態になります。こうなると、寝ている間にうまく酸素が体に行き渡らなくなり、睡眠の状態が阻害(そがい)されることになるわけです。この場合、脳波などを調べると、短時間目が覚めた状態になっています。

本人は意識できませんが、この症状を持っている人は、寝ている間に呼吸が10秒以上止まっていることがほとんどです。これが睡眠中に5回以上繰り返されるようであれば、睡眠時無呼吸症候群といえます。

原因として、扁桃腺(へんとうせん)肥大、肥満、あごが小さい、舌が大きい、鼻が曲がっている、などが挙げられます。これらの原因が、上気道(空気の通り道)の閉塞(へいそく)をもたらすことになるわけです。

睡眠時無呼吸症候群の症状には、先述のような慢性的な眠気のほか、起床時の頭痛やいびき、インポテンツなどがあります。

また、この症状を持つ患者さんは高血圧や心臓病、糖尿病、脳卒中などの重大な病気を合併している場合も少なくありません。逆にいえば、睡眠時無呼吸症候群の治療を開始したことによって、高血圧などの症状が和らいだということもなくはないのです。

治療方法としては、肥満が原因の場合は生活習慣を見直して減量に努め、あごが小さい場合は口にマウスピースなどの装具を入れることによって睡眠中もうまく空気が通るようにします。

なお、不眠だからといって睡眠薬を服用するのは考えものです。睡眠薬には筋弛緩(きんしかん)作用や呼吸を抑制する作用がありますので、のどの筋肉も弛緩してしまい、無呼吸の状態を悪化させてしまう可能性があるからです。

 

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中原 英臣(なかはら・ひでおみ)

1945年、東京生まれ。医学博士。ニューヨーク科学アカデミー会員。東京慈恵会医科大学卒業。77 年から2 年間、アメリカ(セントルイス)のワシントン大学にてバイオ研究に取り組む。その後、山梨医科大学助教授、山野美容芸術短期大学教授を経て、現在、新渡戸文化短期大学学長、早稲田大学講師。おもな著書に『ウイルス感染から身を守る方法』(河出書房新社)、『こんな健康法はおやめなさい』(PHP 研究所)、『テレビじゃ言えない健康話のウソ』(文藝春秋)などがある。

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『やさしい家庭の医学 早わかり事典』
(中原英臣[監修]/KADOKAWA)


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この記事は書籍 『やさしい家庭の医学 早わかり事典』からの抜粋です

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