二つ以上の臓器が同時に機能不全に陥る「多臓器不全」/やさしい家庭の医学

pixta_36287917_S.jpg病気やけがをしたとき、それに関する用語(病名・症状など)の意味をそもそも知らなかった、なんてことはありませんか? また、時代の流れとともに「ADHD」「ノロウィルス」など新しい用語もどんどん現れています。

書籍『やさしい家庭の医学 早わかり事典』で、病気や健康分野の正しい知識を身につけ、いざというときに役立てましょう。

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二つ以上の臓器が同時に機能不全に陥る
「多臓器不全」

●早期に原因を取り除くことが重要

死因として案外目にするのが「多臓器不全」という言葉ではないでしょうか。では、この「多臓器」とはいったい何をさすのでしょう。

多臓器不全とは、連鎖的に複数の臓器が障害された状態をいいます。これらの臓器は生命を維持するのに欠かせないもので、腎臓、肝臓、呼吸器、消化器、血液系、心血管系、神経系の七つの臓器及びシステムをさします。これらのうちの二つ以上が、同時あるいは短期間のうちに相次いで機能不全に陥(おちい)った状態を多臓器不全と呼ぶのです。

英語の頭文字を取って、MOF(Multiple Organ Failure)ないしMODS(Multiple Organ DysfunctionSyndrome)といいます。

多臓器不全に陥る原因はさまざまですが、敗血症など重度の感染症や、広範囲に挫滅(ざめつ)[外部からの強い衝撃・圧迫を受けて、内部の組織が破壊されること]を伴う重度の外傷や熱傷(ねっしょう)[火傷(やけど)]重症のショック、重度の膵(すい)炎などによって複数の臓器の機能が全うできない状態になります。

敗血症とは、細菌による病気がある場合、そこから細菌が血液の流れの中に入って増殖し、それが生産した毒素によって中毒症状を起こすなどする病気ですが、敗血症に罹(かか)ると多くの臓器が攻撃を受けることになり、症状が早く進んでしまいます。

重症のショックの場合は、血圧が下がることで臓器に血液や酸素が行き渡らなくなることによって、細胞が破壊され、臓器を維持することができなくなってしまうのです。

多臓器不全になってしまうと、重篤(じゅうとく)な状態となり、救命できない場合が多くあります。ですから、多臓器不全に陥(おちい)る前に早期に診断を受け、早期に治療することが望ましいといえるでしょう。

 

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中原 英臣(なかはら・ひでおみ)

1945年、東京生まれ。医学博士。ニューヨーク科学アカデミー会員。東京慈恵会医科大学卒業。77 年から2 年間、アメリカ(セントルイス)のワシントン大学にてバイオ研究に取り組む。その後、山梨医科大学助教授、山野美容芸術短期大学教授を経て、現在、新渡戸文化短期大学学長、早稲田大学講師。おもな著書に『ウイルス感染から身を守る方法』(河出書房新社)、『こんな健康法はおやめなさい』(PHP 研究所)、『テレビじゃ言えない健康話のウソ』(文藝春秋)などがある。

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『やさしい家庭の医学 早わかり事典』
(中原英臣[監修]/KADOKAWA)


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この記事は書籍 『やさしい家庭の医学 早わかり事典』からの抜粋です
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