「立ち上がるときにひざが痛む」など、年齢とともにひざ痛を訴える人が増えてきます。ひざ痛の中で多いのは、「変形性ひざ関節症」という病気です。これは、日本人のひざの痛みの原因として最も多いといわれているもので、ひざに負担がかかり続けることによって、ひざへの衝撃を吸収するクッションの役割をする関節軟骨がすり減り、半月板が傷み、ひざに痛みが起こる病気です。加齢が原因で起こるため、年齢が高くなるほど発症しやすくなります。「変形性ひざ関節症」について、国立病院機構災害医療センター院長の宗田大先生にお話しをお聞きしました。
前の記事:「ひざ痛をその原因から解決!②「変形性ひざ関節症」ってどんな病気?」はこちら。
[どんなひざ痛の人でも]
基本のストレッチ
足首を動かす ▶▶▶ ふくらはぎ や すねの筋肉の柔軟性が高まる
5秒間×左右各10回
①床に両脚を伸ばして座り、手のひらを床につけます。
②片側の足首の前側をできるだけ伸ばして5秒間保ち、力を抜きます。反対側の足も同様に。
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5秒間 ×左右各10回
①床に両脚を伸ばして座り、手のひらを床につけます。
②片側の足首をできるだけすねの方向に曲げて5秒間保ち、力を抜きます。反対側の足も同様に。
[ひざの動く範囲を広げたい人に]
基本のストレッチ
太ももの筋肉に力を入れる ▶▶▶ ひざ関節の周囲を伸ばす
変形性ひざ関節症の人は筋力が低下し、太ももの前側にあり、ひざを伸ばす役割がある大腿四頭筋(だいとうしとうきん)という筋肉に力を入れづらくなっていることがあります。このストレッチは、ひざ関節の柔軟性を保つ効果があるとともに、大腿四頭筋の筋力を強化する効果も期待できます。
強度が異なる3種類の方法があるので、自分のひざの状態に合った方法で行ってください。
太ももに力を入れる
5秒間×左右各10回
①床に両脚を伸ばして座り、手のひらを床につけます。
②片側の大腿四頭筋(太ももの前側の筋肉)が盛り上がるように力を入れ5秒間保ち、力を抜きます。反対側の脚も同様に。
簡単にできる場合は・・・足首の下にタオルを入れる
丸めたタオルや小さい枕などを片側の足首の下に置いて太ももに力を入れます。
うまくできない場合は・・・握りこぶしをひざの下に入れる
[ひざの痛みや疲れを解消したい人に]
基本のストレッチ
太ももの前側を伸ばす ▶▶▶ 大腿四頭筋の柔軟性が高まる
硬くなった大腿四頭筋の柔軟性を高めてくれるストレッチです。大腿四頭筋がほぐれてくると、ひざの曲げ伸ばしがしやすくなり、痛みが徐々に取れてくるだけでなく、ひざの疲れを解消する効果があります。
かかとをお尻に近づける
10秒間×左右各5回
①床にうつぶせになり、片側の足首を同じ側の手でつかみます。
②かかとをできるだけお尻に引き寄せ10秒間保ち、元に戻します。反対側の脚も同様に。
簡単にできる場合は・・・立って行う
10秒間×左右各10回
①壁のそばに立ち、壁に手をついて、片側の足首を持ちます。
②かかとをできるだけお尻に引き寄せ10秒間保ち、元に戻します。反対側の脚も同様に行います。
うまくできない場合は・・・あおむけに寝て脚を抱える
10秒間×左右5回
①床にあおむけになります。
②片側のひざを曲げて両手で脚を抱え、胸に引き寄せ10秒間保ち、元に戻します。
反対側の脚も同様に行います。
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宗田 大(むねた・たけし)先生
国立病院機構災害医療センター院長、東京医科歯科大学名誉教授。東京医科歯科大学医学部卒業。専門はスポーツ医学、膝関節学を中心とした関節外科学。患者のひざ痛改善のために熱心にストレッチを指導している。