「立ち上がるときにひざが痛む」など、年齢とともにひざ痛を訴える人が増えてきます。ひざ痛の中で多いのは、「変形性ひざ関節症」という病気です。これは、日本人のひざの痛みの原因として最も多いといわれているもので、ひざに負担がかかり続けることによって、ひざへの衝撃を吸収するクッションの役割をする関節軟骨がすり減り、半月板が傷み、ひざに痛みが起こる病気です。加齢が原因で起こるため、年齢が高くなるほど発症しやすくなります。「変形性ひざ関節症」について、国立病院機構災害医療センター院長の宗田大先生にお話しをお聞きしました。
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もともとの軟骨の弱さや加齢、肥満などが原因
「ひざの痛みを主な症状として整形外科の外来を受診する人は、腰痛に次いで2 番目に多いです。日本人のひざの痛みの原因として最も多いといわれているのが、変形性ひざ関節症です。変形性ひざ関節症が疑われる人は、予備群も含めて約2300万人いると推計されています」と宗田大先生。
変形性ひざ関節症は、ひざに負担がかかり続けることによって、ひざへの衝撃を吸収するクッションの役割をする関節軟骨がすり減り、半月板が傷み、ひざに痛みが起こる病気です。加齢が原因で起こるため、年齢が高くなるほど発症しやすく、男性よりも女性に多いのが特徴です。 「軟骨がすり減る原因はさまざまですが、特に起こりやすいのが、もともとひざの軟骨が体質的に弱い人と考えられています」(宗田先生)
その他にも、肥満やO脚、若いときにスポーツをしていた経験がある、中高年になってからスポーツを始めた、ひざのケガの経験がある人なども、変形性ひざ関節症を発症する危険性があります。
「ひざに痛みや違和感があったら、早めに整形外科を受診して、早期に適切な治療を受けることが大切です」(宗田先生)
変形性ひざ関節症の原因
◎軟骨がすり減り、半月板が傷む
◎ひざ関節の変形が進む
■健康なひざ間接(断面)
大腿骨と脛骨は、関節軟骨で覆われています。関節軟骨は、半月板とともにひざにかかる衝撃を吸収しています。
■変形性ひざ関節症
関節軟骨がすり減り、半月板が傷みます。関節軟骨の磨耗と同時にできる骨棘や、関節軟骨のかけらが滑膜を刺激し、炎症が起こります。
初期の痛みに注意!進行すると歩くのがつらくなることも
変形性ひざ関節症が軽度の場合は、立ち上がりや歩き始めだけ痛んだり、ひざに水がたまり始めるなどの症状が現れます。進行すると、階段の上り下りで痛むことがあったり、ひざを完全に曲げられなかったり、繰り返しひざに水がたまるといったことが起こります。重度になると、歩くのがつらくなったり、ひざの曲げ伸ばしが難しくなったり、安静時にも痛みが出ることもあります。
ひざ痛があると、ひざの痛みをかばうために歩くときにどうしても前かがみになりがちです。そうすると、大腿四頭筋が常に収縮した状態を招きやすく、ひざの柔軟性が損なわれます。その結果、ひざの動きが悪くなったり、血行が悪くなることがあり、痛みがますます強くなってきます」(宗田先生)
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宗田 大(むねた・たけし)先生
国立病院機構災害医療センター院長、東京医科歯科大学名誉教授。東京医科歯科大学医学部卒業。専門はスポーツ医学、膝関節学を中心とした関節外科学。患者のひざ痛改善のために熱心にストレッチを指導している。