一般的な人は1年に5~6回風邪にかかっている⁉/やさしい家庭の医学

一般的な人は1年に5~6回風邪にかかっている⁉/やさしい家庭の医学 pixta_33846972_S.jpg病気やけがをしたとき、それに関する用語(病名・症状など)の意味をそもそも知らなかった、なんてことはありませんか? また、時代の流れとともに「ADHD」「ノロウィルス」など新しい用語もどんどん現れています。

書籍『やさしい家庭の医学 早わかり事典』で、病気や健康分野の正しい知識を身につけ、いざというときに役立てましょう。

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前の記事「ADHDの主な症状は「不注意」「多動性」「衝動性」の3つ/やさしい家庭の医学(7)」はこちら。

 

かぜとは、正式には「かぜ症候群」のこと

「かぜ」

●「かぜは万病のもと」というが

皆さんが普通に「かぜ」と呼んでいる症状は、正式には「かぜ症候群」といいます。
かぜは、そのほとんどがウイルスや細菌が鼻腔(びくう)咽頭(いんとう喉頭(こうとう)、扁桃(へんとう)などの上気道に炎症を起こして発症する病気です。

そのため、鼻汁が出たり、頭痛やのどの痛み、せき、たんが出たりします。体内に入ったウイルスがコクサッキーウイルス(腸管系ウイルスの一つ)の場合は、のどなどの痛みのほか、腹痛や下痢などの症状も引き起こすことになります。

体力の程度にもよりますが、一般的なかぜの場合は1週間程度で回復に向かいます。

細菌性のかぜの場合は抗菌薬を服用するのがもっとも有効になりますが、ウイルス性の場合は、病原ウイルスに有効な薬がまだないため、対症療法に頼るしか方法はありません。

市販のかぜ薬は、総合感冒薬(かんぼうやく)のほか、のどの痛みや熱、せき止めなど、症状別に分かれていますが、前述のように、かぜをすぐさま治す薬はありませんので、症状別に使用するのがよいでしょう。

ですから、かぜに対するもっともよい治療法は、体を安静に保ち、保温や保湿を十分にし、消化や栄養のよいものを食べたり、水分補給をするということにかぎると思われます。

また、かぜを予防するには、ウイルスや細菌が体内に入らないようにするために、外から家に戻ったときにうがいや手洗いをすることがもっとも大切になります。

ある説によりますと、かぜは、一般的な人の場合、1年に5~6回罹(かか)っているともいわれ、自然に治っているようなケースも少なくないといえます。

また、前述のようなかぜの症状は、喘息(ぜんそく)や心不全などの初期症状とも似通っています。「かぜは万病のもと」という故事がありますが、それは、かぜからすべての病気が引き起こされるということよりも、ほかの病気の初期症状がかぜに似ていることからいわれるようになったものなのでしょう。

たとえかぜのような症状であっても、場合によっては大病のはじまりかもしれません。もしも、いつもとは異なる症状に思われる場合は、病院に行き、適切な検査をしてもらったほうがよいかもしれません。

 

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中原 英臣(なかはら・ひでおみ)

1945年、東京生まれ。医学博士。ニューヨーク科学アカデミー会員。東京慈恵会医科大学卒業。77 年から2 年間、アメリカ(セントルイス)のワシントン大学にてバイオ研究に取り組む。その後、山梨医科大学助教授、山野美容芸術短期大学教授を経て、現在、新渡戸文化短期大学学長、早稲田大学講師。おもな著書に『ウイルス感染から身を守る方法』(河出書房新社)、『こんな健康法はおやめなさい』(PHP 研究所)、『テレビじゃ言えない健康話のウソ』(文藝春秋)などがある。

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『やさしい家庭の医学 早わかり事典』
(中原英臣[監修]/KADOKAWA)


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この記事は書籍 『やさしい家庭の医学 早わかり事典』からの抜粋です

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