発達障害のひとつ、ADHDの主な症状は「不注意」「多動性」「衝動性」/やさしい家庭の医学

pixta_36552614_S.jpg病気やけがをしたとき、それに関する用語(病名・症状など)の意味をそもそも知らなかった、なんてことはありませんか? また、時代の流れとともに「ADHD」「ノロウィルス」など新しい用語もどんどん現れています。

書籍『やさしい家庭の医学 早わかり事典』で、病気や健康分野の正しい知識を身につけ、いざというときに役立てましょう。

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不注意・多動性・衝動性のある発達障害

「ADHD」

●大人のADHDもある

自分の子どもに集中力がなかったり、授業中にほかの子どもにちょっかいを出したりするのは、もしかしたら自分のしつけが悪いのかも......。

もちろん、そのようなことが原因の場合もあるかもしれませんが、もしかしたらその子は「ADHD」の疑いがあります。では、ここ数年メディアなどで取り上げられるようになったADHDとは、どのような病気なのでしょうか。

ADHDとは、「Attention Deficit/ Hyperactivity Disorder」の頭文字を取った略語で、「注意欠如・多動性障害」と訳されます。年齢や発達に不釣合いな不注意さや多動性、衝動性を持った発達障害で、日常生活や学校生活などにおいて支障をきたす状態のことです。

ADHDの主な症状は「不注意」「多動性」「衝動性」の三つで、集中力が続かない、気が散りやすいなどの「不注意」、じっとしていることが苦手な「多動性」、思いついた行動をとっさにしてしまう、順番が守れないなどの「衝動性」などの行動が見られるようになります。

発達障害とは、言葉を話したり、言葉の意味を理解したりするといった、脳の高いレベルの働きの問題が小児期までに現れた状態のことで、知恵の遅れを伴わない発達障害として、本項で取り上げているADHDのほか、学習障害や小児自閉症、アスペルガー症候群(自閉症の一種で、他人とコミュニケーションが取りにくい、社会的関係を築きにくい、想像力・創造性に障害が見られる、などの症状が現れる病気)などが挙げられます。

子どもがADHDに罹(かか)る原因は現在のところ解明されていませんが、脳の中枢神経や神経伝達物質の異常によるもの、または、外傷や脳炎などが原因になる場合もあると考えられています。

文部科学省の調査(「通常の学級に在籍する特別な教育的支援を必要とする児童生徒に関する全国実態調査」)によると、ADHDが疑われる子どもの人数は、学齢期(6~15歳)の子どもの2.5%とされています。先述のように、ADHDは親のしつけが原因ではありませんので、子どもにこのような症状が見られたら、総合病院や大学病院などにある小児神経科や児童精神科などを訪ねるとよいでしょう。治療は、まずはその子を取り巻いている環境のバランスを整えることからはじまり、必要であれば薬による治療も取り入れていきます。ADHDの治療には親の協力が不可欠ですので、子どもに少しでも改善の兆(きざ)しが見えたらほめるなどして、一緒に治療を進めていく心構えが必要です。

なお、ADHDには、子どもだけでなく大人の患者さんもいます。これは大人になってから発症するというものではなく、その人は子どもの頃からADHDに罹っており、大人になっても治りきらない部分があるという意味です。仕事でケアレスミスが続く、約束を守れない、仕事を順序立ててできにくい、などの症状が見られ、落ち着きがないのも特徴です。このような場合は、大人のADHDの可能性も考えられますので、心療内科や精神神経科などを受診するのもよいでしょう。

 

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中原 英臣(なかはら・ひでおみ)

1945年、東京生まれ。医学博士。ニューヨーク科学アカデミー会員。東京慈恵会医科大学卒業。77 年から2 年間、アメリカ(セントルイス)のワシントン大学にてバイオ研究に取り組む。その後、山梨医科大学助教授、山野美容芸術短期大学教授を経て、現在、新渡戸文化短期大学学長、早稲田大学講師。おもな著書に『ウイルス感染から身を守る方法』(河出書房新社)、『こんな健康法はおやめなさい』(PHP 研究所)、『テレビじゃ言えない健康話のウソ』(文藝春秋)などがある。

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『やさしい家庭の医学 早わかり事典』
(中原英臣[監修]/KADOKAWA)


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この記事は書籍 『やさしい家庭の医学 早わかり事典』からの抜粋です

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