私たちの腸に存在する、100兆個もの細菌からなる腸内フローラ。これを「美しいお花畑」にするためには、食物繊維が必要だと語るのは京都府立医科大学大学院消化器内科学准教授の内藤裕二先生。さらに「日本人の食物繊維摂取量は、戦後ずっと減少しており、消化管が"泣いている"原因の一つだと思っています。特に水溶性食物繊維の摂取量は全く足りていません」と食物繊維の重要性を強調しています。
前編「教えて先生! 腸内フローラに関する素朴なギモン Q&A」はこちら。
――腸が喜ぶキーワード、それは「食物繊維」。知っているようで実はよく知らない、食物繊維の作用で特に大切なものをまとめてみました。
1.【腸内環境改善】
食物繊維は腸内を弱酸性に保ち、腸内の腐敗の進行や悪玉菌の繁殖を抑えて、善玉菌が元気に働くよう腸の環境を整えます。
2.【腸の働き活性化】
食物繊維が腸の水分を吸収することでかさが増えた便が腸壁を刺激するため、便を押し出そうとするぜん動運動が活発になり、便秘を改善します。
3.【腸内掃除】
食物繊維は腸内にたまった化学物質や、悪玉菌が食べ物を腐敗させることで生成された発がん物質などを、便と一緒に排出させる働きを助けます。
4.【腸内フローラ改善】
食物繊維は善玉菌のエサになって働きを助け、発酵によって作られる短鎖脂肪酸などの有益な物質によってさらに善玉菌を増やします。
5.【腸壁強化】
食物繊維は、善玉菌の発酵を促進して発酵生成物を増やし、それを腸壁の細胞が栄養として利用することで、常に元気で免疫力の高い腸壁のバリアを作ります。
後編「毎日食べたい! 食物繊維を多く含む食材たち」はこちら。
<教えてくれた人>
内藤裕二(ないとう・ゆうじ)先生
京都府立医科大学大学院消化器内科学准教授。胃カメラなど内視鏡検査の達人として患者さんから厚い信頼が寄せられる。胃がん撲滅のための研究や、機能性食品の有用性を科学的に分析する研究でも有名。近著に『消化管(おなか)は泣いています』『人生を変える賢い腸のつくり方』(ともにダイヤモンド社)。
内藤裕二(ないとう・ゆうじ)先生
京都府立医科大学大学院消化器内科学准教授。胃カメラなど内視鏡検査の達人として患者さんから厚い信頼が寄せられる。胃がん撲滅のための研究や、機能性食品の有用性を科学的に分析する研究でも有名。近著に『消化管(おなか)は泣いています』『人生を変える賢い腸のつくり方』(ともにダイヤモンド社)。