教えて先生! 腸内フローラに関する素朴なギモン Q&A

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我々の腸内で生きる、100兆個もの細菌叢「腸内フローラ」が注目を浴びています。しかし、私たちにはわからないことがたくさん。そこで、腸内フローラにまつわる素朴なギモンについて、京都府立医科大学大学院消化器内科学准教授の内藤裕二先生にお答えいただきました。

前編「専門医が推奨する、7つの快腸習慣とは」はこちら。


Q.1日に食物繊維を取る目安は?
2015年版の「日本人の食事摂取基準」では1日男性20g以上、女性18g以上です(18歳以上70歳未満)。玄米100g、納豆1パックにそれぞれ約3g、野菜350gに8~10gの食物繊維が含まれていますので目安にしてください。


Q.食物繊維を取りすぎると腸に良く無いって聞いたけど...
確かに不溶性食物繊維ばかりを大量に摂取すると、便が増えて腸にガスがたまるという研究結果もあります。食物繊維は水溶性と不溶性で働きが異なるため、一方に偏らず、穀物、いも、豆、野菜、果物、きのこ類、海藻類などをいろいろ組み合わせて食べましょう。


Q.便秘は腸内フローラに良くないから、便秘薬を使ったほうがいい?
慢性的に便秘で、便の状態もバナナ状のきれいなものではない場合は、医師に相談しましょう。市販の便秘薬には、腸の内壁を傷つけたり変色させたりするもの、腸の正常なぜん動運動を狂わせてしまうもの、持病のある人は避けたほうがいい成分を含むものなどがあります。医師に相談した方が安心です。


Q.抗生物質で腸内フローラがダメになる?
抗生物質を投与したマウスは、腸内フローラの善玉菌が減り、薬剤が効かない微生物が増えて、細胞の働きが悪くなることが明らかになっています。長期間、抗生物質を飲み続けると、腸内フローラにはかなり悪影響を及ぼすようですのでご注意ください。


Q.化学物質がなぜ腸に悪いの?
食品添加物や化学物質は、腸にとってまだなじみがなく、腸の処理方法が不明な怪しい存在。最近の研究では、さまざまな化学物質が腸の中で悪影響を及ぼして病気の原因になっている可能性が指摘されています。また、大気中の微小な有害物質や住居内空気汚染の原因物質、日焼け止めに含まれる化学物質などが口から侵入して腸内フローラに良からぬ影響を与えることも示唆されています。病気の治療薬や、サプリメントも科学物質を含むため、注意が必要。できるだけ素材の出所が明確なものを口にするように心がけ、早く病気を治して薬の服用を終わらせるようにしましょう。


Q.腸内フローラは長寿にも関係している?
ある研究では、百寿者は食物繊維の摂取量が多く、さらにその腸内フローラの特徴としては、食物繊維を効率的に分解して栄養に変える能力を持つ腸内細菌の数が多いことが明らかになっています。長寿のためには、まず食物繊維の多い食事をすること。そして、それを効率良く栄養にできる能力を持った腸内フローラを保つことが効果的なようです。

Q.すぐき漬けが注目されているのはなぜですか?
すぐき(酸茎)はかぶの一種。「すぐき漬け」は京都特産の酸味が強い漬物。すぐき漬けに含まれる植物性乳酸菌「ラブレ菌」は胃酸に強く、生きたまま腸内に到達し、免疫力を高めアレルギーを抑制し、コレステロール値を下げ、悪玉菌の増殖を抑え腸内環境を整える働きがあります。


――腸内フローラは、私たちとともに生きる存在。上手につきあっていきたいものですね。

<教えてくれた人>
内藤裕二(ないとう・ゆうじ)先生
京都府立医科大学大学院消化器内科学准教授。胃カメラなど内視鏡検査の達人として患者さんから厚い信頼が寄せられる。胃がん撲滅のための研究や、機能性食品の有用性を科学的に分析する研究でも有名。近著に『消化管(おなか)は泣いています』『人生を変える賢い腸のつくり方』(ともにダイヤモンド社)。
 
この記事は『毎日が発見』2016年6月号に掲載の情報です。

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