人間関係の「距離感」は禅の庭から学ぶことができる/枡野俊明

pixta_36120305_S.jpg職場、恋愛関係、夫婦関係、家族、友人...。毎日自分以外の誰かに振り回されていませんか?

"世界が尊敬する日本人100人"に選出された禅僧が「禅の庭づくりに人間関係のヒントがある」と説く本書『近すぎず、遠すぎず。他人に振り回されない人付き合いの極意』で、人間関係改善のためのヒントを学びましょう。今回はその第13回目です。

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前の記事「人間関係の妄想はゴミ箱へ。心に静けさを取り戻す/枡野俊明(12)」はこちら。

 

「禅の庭」づくりに人間関係づくりを学ぶ

「禅の庭」づくりと人間関係を築いていくということには多くの共通項がある。それは序章でも触れましたが、ここでそのことについて少し掘り下げてお話しします。まず結論から申しますと、「禅の庭」をつくるうえでいちばん重要なのは「距離感」だと私は考えています。

「禅の庭」に使われる素材は石、白砂、植栽、水......といったきわめてシンプルなものです。それだけに、それらをどのように配置するかには、気持ちを集中して細心の注意を注ぎ込むことが必要になります。石と石の位置関係、すなわち距離感一つで「禅の庭」はまったく違った印象のものになります。

近すぎれば景色が窮屈なものになってしまい、見る人もそれを感じとって、心の寛(くつろ)ぎを得られないということにもなります。

逆に、遠すぎると、冗漫な感じを与える景色になりますから、「禅の庭」でとても大切な緊張感が失われることにもなるのです。石と植栽、植栽と水の流れなど、すべての素材の距離感が的確なものであってはじめて、「禅の庭」は、人の心を寛がせる、和ませる、穏やかなものにする、あるいは清々しさを心に吹き込む景色をそこに表現することができる、といっていいでしょう。

これは人間関係にも同じことがいえるのではないでしょうか。誰もが、心地よい人間関係を望んでいます。その心地よさをもたらしたり、反対に、損ねたりするのは、相手との距離感です。

「そこまで心のなかに踏み込まれたのでは、こちらが息苦しくなってしまう」距離が近すぎれば、そうしたことが起こりますし、遠すぎると、心の触れ合いを感じることができなかったりします。「もう、ずいぶん長い付き合いなのに、いつまでも他人行儀な人ね。もっと打ち解けたいと思っているのに......」といった塩梅(あんばい)です。

距離感は人間関係の在り様を決める。しかし、案外、人はそのことに無頓着なのかもしれません。距離感を意識しないまま、人間関係に戸惑ったり、悩んだり、苦しんだりしている、というのが実情ではないでしょうか。いい方を換えれば、距離感に目を向け、それを調節することで、人間の悩みの九割は解決されるということです。そのために必要な具体的なアプローチ法をお伝えしていきます。

 

次の記事「自分自身をよく知ることこそよい人間関係の第一歩/枡野俊明(14)」はこちら。

枡野俊明(ますの・しゅんみょう)

1953年、神奈川県生まれ。曹洞宗徳雄山建功寺住職、多摩美術大学環境デザイン学科教授、庭園デザイナー。大学卒業後、大本山總持寺で修行。禅の思想と日本の伝統文化に根ざした「禅の庭」の創作活動を行い、国内外から高い評価を得る。2006年「ニューズウィーク」誌日本版にて「世界が尊敬する日本人100人」にも選出される。主な著書に『禅シンプル生活のすすめ』、『心配事の9割は起こらない』(ともに三笠書房)、『怒らない 禅の作法』(河出書房)、『スター・ウォーズ禅の教え』(KADOKAWA)などがある

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『近すぎず、遠すぎず。』
(枡野俊明/KADOKAWA)


禅そのものは、目に見えない。その見えないものを形に置き換えたのが禅芸術であり、禅の庭もそのひとつである。同様に人間関係の距離感も目に見えない。だからこそ、禅の庭づくりに人間関係のヒントがある――「世界が尊敬する日本人100人」に選出された禅僧が教える、生きづらい世の中を身軽に泳ぎ抜くシンプル処世術。

この記事は『近すぎず、遠すぎず。他人に振り回されない人付き合いの極意』からの抜粋です
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