健康や若々しさに深くかかわりがあるという血管や血流。でも血管や血流の働きをよくするにはどうしたら? 今回は医師、医学博士の根来秀行(ねごろ・ひでゆき)先生に「毛細血管の血流を保つ睡眠」について教えてもらいました。あなたの睡眠はどうですか?
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睡眠で毛細血管の血流を保つ
おなかは空っぽにしてから寝る
良い睡眠のためには、夕食は寝る4~5時間前に食べるのがいいと根来先生。
「胃に食べ物があると、寝ている間に体を巡るべき血液が消化活動に駆り出されてしまいます。また、交感神経が優位になり、体が覚醒する原因にも」
寝る前の食事やおやつは厳禁と心がけておきましょう。
夜中のトイレは薄明かりで
夜中、トイレに行きたくて目が覚め、眠れなくなった経験がある人は多いことでしょう。
「トイレに行くときに煌々(こうこう)と明かりをつけると、目が覚めてしまいます。フットライトなど、最低限の薄明かりで行動できるように環境を整えておきましょう。布団に戻ったらすぐ目を閉じれば、自然とまた眠くなります」(根来先生)
若返りに最も良いのは7時間睡眠
「成長ホルモンをはじめ、酸素や栄養素が体の隅々まで巡るためには、7時間眠ることが必要です」と、根来先生。
その理由は、睡眠中に分泌される成長ホルモンは、寝入りばなの約90分から180分の深いノンレム睡眠中に最も多く分泌され、その後、4時間かけて血流にのって全身に運ばれ、毛細血管と体中の細胞の修復を行うから。健康のためにも、血流のためにも7時間睡眠がベストです。
寝るときはパジャマ靴下は脱いで
「深く眠るためには、パジャマも重要」と根来先生。
通気性、吸湿性、放湿性のある肌触りの良い生地で、体を締め付けないものがいいそうです。また、靴下をはいて眠るのはNG。
「靴下は血流を妨げ、熱がこもり過ぎてしまいます。冷えを感じる人は、湯たんぽがおすすめ。徐々に温度が下がるため、眠りを邪魔しません」
入浴後は、部屋を間接照明にする
「白く明るい蛍光灯やスマートフォンなどから発せられるブルーライトは、小さな画面であっても体内時計を狂わせ、睡眠の妨げになります。入浴後は優しい明かりの間接照明がベストです」と、根来先生。
部屋の明かりはオレンジなどの暖色系に、手元を照らすランプやキャンドルの灯りも自律神経を穏やかにしてくれます。
寝付けないなら布団から出る
「なかなか眠れないときは、電気を消して目をつぶり、深呼吸を。これだけで副交感神経が優位になり、自然と眠くなります」(根来先生)。
それでも眠れない日は、思い切って布団から出るのも一策。
間接照明を灯して瞑想したり、好きなアロマをたくなどリラックスして過ごして。
少し眠気が来たら、布団へ戻って目を閉じましょう。
寝る前に読むなら紙の本がいい
「スマートフォンから出るブルーライトの強い光は、視神経を刺激して睡眠ホルモンであるメラトニンを抑制してしまいます。そのため睡眠が浅くなってしまう原因となります」(根来先生)
22時以降はスマートフォンには触らず、紙の本を読んで過ごした方が良質な睡眠を得られます。
歯磨きは寝る30分前までに
「寝る直前の歯磨きは、睡眠ホルモンであるメラトニンを減少させ、眠りが浅くなってしまう」と根来先生。
眠りが浅くなると、せっかく入浴や呼吸でゆるめた血管を維持する時間が作れなくなります。
今日からは寝る30分前までには歯磨きを済ませましょう。
取材・文/寳田真由美(オフィス・エム) 撮影/米山典子 イラスト/moeko