放置しても大丈夫? どんなときに治療する? 幅広い年齢層にできるしこり「ガングリオン」を解説

関節周辺にできる腫瘤(しこり)で、幅広い年齢層にできるガングリオン。無症状なら放置しても大丈夫ですが、大きくなると外見上気になったり、動かしにくくなったりすることもあります。今回は、JR 東京総合病院 副院長三浦俊樹(みうら・としき)先生に「ガングリオン」について教えてもらいました。

関節の周辺にできる良性の腫瘤
無症状なら放置しても大丈夫「ガングリオン」

主な特徴
腫瘤はやや弾力があって硬めのことが多い
サイズは米粒大からピンポン玉大までさまざま
大きくなったり小さくなったり変化することも

主な治療法
注射針で吸引して内容物を排出
手術によって根元から切除

ガングリオンはどこにできる?

放置しても大丈夫? どんなときに治療する? 幅広い年齢層にできるしこり「ガングリオン」を解説 2301_P082_02.jpg放置しても大丈夫? どんなときに治療する? 幅広い年齢層にできるしこり「ガングリオン」を解説 2301_P082_01.jpg

(1)手首の甲側
(2)手のひらの腱鞘部分
(3)手首の手のひら側の脈の触れるところ

※ひじや足首の周りにできることもある

神経の近くに腫瘤ができると...

放置しても大丈夫? どんなときに治療する? 幅広い年齢層にできるしこり「ガングリオン」を解説 2301_P082_03.jpg

神経が圧迫されて、痛み、しびれ、感覚麻痺、筋力低下などの症状を引き起こすこともある


ガングリオンは関節周辺にできる腫瘤(しこり)で、幅広い年齢層にできる身近な病気です。

多くの場合、強い痛みはありませんが、神経の近くにできると神経を圧迫し、痛みやしびれ、運動麻痺などの障害を来すことがあります。

大きくなると外見上気になったり、動かしにくくなったりすることもあります。

ガングリオンは関節を包む袋(関節包)や腱を包む組織(腱鞘)が何らかの刺激で損傷され、突起状に飛び出た袋の内部に、ゼリー状の粘液や関節液がため込まれたものです。

指にできた場合、似たような病気に「腱鞘巨細胞腫」があります。

放置しておくとやがて大きくなり、骨や関節を壊していく病気です。

また悪性腫瘍など注意が必要な病気の可能性もあるので、自己診断せず、速やかに整形外科を受診することが大切です。

診断は視診や触診だけで可能な場合もありますが、発生部位が典型的ではない場合や注射針を刺しにくい場合などは超音波やMRIなどの画像検査が有効です。

ガングリオンの中には「オカルトガングリオン」と呼ばれるものもあります。

深部にあって小さいため、痛みがあっても気付きにくく、診断がつきづらいタイプです。

治療は、痛みやしびれなどの症状がある場合や外見上気になる場合などに検討します。

ガングリオンと診断できてさえいれば、無症状なら放置しても心配ありません。

主な治療法は注射器で内容物を吸引する方法です。

発生部位によってはできないこともあります。

袋が残った状態なので、再発することも多いのですが、何回か行ううちに自然に治ることもあります。

手術は何度も再発を繰り返す場合や感覚麻痺の症状がある場合に検討します。

ガングリオンを膜ごと根元からしっかり切除するので、再発のリスクを下げることができます。

どういうときに治療する?

放置しても大丈夫? どんなときに治療する? 幅広い年齢層にできるしこり「ガングリオン」を解説 2301_P083_01.jpg

□ 腫瘤の大きさが外見上気になる
□ 腫瘤の近くの関節が動かしにくい
□ 痛みが強い
□ 手足がしびれるなどの症状がある

※ガングリオンは悪い病気ではないため、特に困る症状がなければ、治療せず放置することがおすすめ。自然に治ることもある。

どんな治療法がある?

注射針で吸引して内容物を排出

ガングリオンに直接注射針を刺して内容物を吸い出した後、ステロイドを注入することもある放置しても大丈夫? どんなときに治療する? 幅広い年齢層にできるしこり「ガングリオン」を解説 2301_P083_02.jpg・最も一般的な治療法
・通常麻酔は行わず、所要時間は1分程度
・再発率が高い
・何回か行ううちに自然に治ることもある

手術によって根元まで切除

ガングリオンを膜ごと根元までしっかり切除する

放置しても大丈夫? どんなときに治療する? 幅広い年齢層にできるしこり「ガングリオン」を解説 2301_P083_03.jpg

・感覚麻痺がある場合などに選択
・部分麻酔で、所要時間は20~30分
・再発率を下げることができる
・手術による合併症のリスク
(感染症、神経の損傷、血管の損傷など)がある

取材・文/古谷玲子 イラスト/片岡圭子

 

<教えてくれた人>

JR 東京総合病院 副院長
三浦俊樹(みうら・としき)先生

1992年東京大学医学部卒業。数々の病院で臨床医として研鑽を重ね、米国ニューメキシコ大学、東京大学医学部附属病院を経てJR東京総合病院へ。手外科のエキスパート。

この記事は『毎日が発見』2023年1月号に掲載の情報です。

この記事に関連する「健康」のキーワード

PAGE TOP