足の血管が浮き出る、ボコボコしている、むくみがひどい...。それらの症状は「下肢静脈瘤」が原因かもしれません。放置しておくと重症化する場合もある「下肢静脈瘤」ですが、軽症のうちはセルフケアで何とかなります! そこで今回は"血管の名医"である広川雅之先生の著書『血管の名医が教える 下肢静脈瘤の治し方』をご紹介。自分の症状はセルフケアで治るの? 放っておくとどうなるの? 別の病気の可能性は? 「下肢静脈瘤」に関する疑問を名医が徹底解説します。
※本記事は広川雅之著の書籍『血管の名医が教える 下肢静脈瘤の治し方』から一部抜粋・編集しました。
下肢静脈瘤は、いくつかの症状が同時に起こることもある
下肢静脈瘤には、さまざまな自覚症状があらわれます。
おもな症状は次の6つです。
◎足のむくみ
足のすねの骨の上を5~10秒指で強く押して、指をはなしてもへこんだままの状態がむくみです。
下肢静脈瘤のむくみは午後から夜にかけて起こります。
帰宅時にブーツがきつくなる、靴下を脱ぐと跡がくっきりついているなどは、むくみの症状です。
下肢静脈瘤のむくみの特徴は、むくみ方に左右差があること。
両足が同じようにむくんでいる場合は、下肢静脈瘤によるむくみではない可能性が高いです。
むくみの症状で受診される方も多いのですが、下肢静脈瘤によるむくみは意外に少ないのです。
下肢静脈瘤以外の病気によって起こるむくみもあります。
貧血や甲状腺疾患、心不全などが考えられますが、これらの病気でむくみが出る場合は、足だけでなく手や顔がむくんだり、息切れや動悸などの他の症状をともなうことがあります。
こうした症状がある場合は、早めに医療機関を受診してください。
◎足が重だるい・疲れる
ふくらはぎが疲れてだるい感じになります。
むくみと同じように午後から夜にかけて起こります。
下肢静脈瘤による重だるさは、両足同時に起こることはあまりありません。
また、長時間立っていたり座っていたりするときに起こるのも特徴です。
歩いているときに重だるくなるのは、下肢静脈瘤が原因ではありません。
◎足のつり
突然の強い痛みとともに、足の筋肉が硬くなる症状です。
筋肉のけいれんによって起こり、こむら返りともいいます。
ふくらはぎ(「こむら」はふくらはぎのこと)がもっともつりやすく、足の指や太ももがつることもあります。
明け方の寝ているときに起こることが多いのも特徴です。
実は、足がつるのは下肢静脈瘤がまだ軽症のとき。
進行すると足のつりは起こらなくなります。
◎足の痛み
下肢静脈瘤によって感じる痛みは、ピリピリする、チクチクするなどそれほど強い痛みではなく、長時間痛み続けることもありません。
ごくまれに、以前からあった下肢静脈瘤が急に腫れて赤くなり、強く痛みだすことがあります。
これは静脈瘤の中に血液の塊である血栓ができ、炎症が起こる「血栓性静脈炎」です。
治療をしなくても5~10日で自然に炎症はおさまり、痛みもなくなりますが、しこりが半年ほど残ります。
この血栓は肺にとんだりはしません。
◎足のかゆみ
足に血液が滞って皮膚表面の新陳代謝が悪くなり、皮膚炎が起こることがあります。
ザラザラした湿疹ができて、かゆくなったり、茶色く変色したりすることもあります。
◎足のほてり
足の血液が滞ると、足がほてったように感じることがあります。
老廃物を多く含んでいる血液が滞ることで熱感が生じるからです。
これらの症状は単独であらわれることもありますし、いくつかの症状が同時に出ることもあります。
また、「前はむくんでいたけど、最近は足がかゆい」というように、異なる症状が時間差であらわれることもあります。