足の血管が浮き出る、ボコボコしている、むくみがひどい...。それらの症状は「下肢静脈瘤」が原因かもしれません。放置しておくと重症化する場合もある「下肢静脈瘤」ですが、軽症のうちはセルフケアで何とかなります! そこで今回は"血管の名医"である広川雅之先生の著書『血管の名医が教える 下肢静脈瘤の治し方』をご紹介。自分の症状はセルフケアで治るの? 放っておくとどうなるの? 別の病気の可能性は? 「下肢静脈瘤」に関する疑問を名医が徹底解説します。
※本記事は広川雅之著の書籍『血管の名医が教える 下肢静脈瘤の治し方』から一部抜粋・編集しました。
【前回】足が「つる」「かゆい」「ピリピリする」。それ、もしかして「下肢静脈瘤」の症状かも?
下肢静脈瘤のタイプは大きく分けて2つある
下肢静脈瘤には、大きく分けて「伏在型静脈瘤」と「軽症タイプ」の2つがあります。
それぞれの特徴を解説しましょう。
【伏在型静脈瘤】
皮膚の表面を通る表在静脈には、大伏在静脈と小伏在静脈があり、それぞれの静脈がもとになってできる静脈瘤を「大伏在静脈瘤」「小伏在静脈瘤」といいます。
この2つは「伏在型静脈瘤」と呼ばれ、静脈の太さが4mm以上になり、重症化すると皮膚炎や潰瘍を起こすこともあります。
◎大伏在静脈瘤
深部静脈につながる足の付け根にある弁が壊れ、連鎖して下の弁も壊れることが原因で起こります。
もっとも多い静脈瘤です。
太ももからふくらはぎの内側にかけてコブが目立ってくるのが特徴です。
◎小伏在静脈瘤
深部静脈につながるひざの裏側の弁が壊れ、連鎖して下の弁も壊れることが原因です。
大伏在静脈瘤に次いで多い静脈瘤です。
ふくらはぎやひざの裏側にかけてコブが浮き出て目立つのが特徴です。
【軽症タイプ】
軽症タイプには、次の4つがあります。
見た目は気になりますが、重症化することはありません。
複数のタイプが同時に発症することがあります。
◎側枝型静脈瘤
伏在静脈から枝分かれした側枝静脈に起こる静脈瘤です。
静脈の太さは2~3mmになり、コブが目立ちます。
伏在型静脈瘤が隠れていることもあります。
◎網目状静脈瘤
皮膚のすぐ下にある小さな静脈の静脈瘤です。1~2mmの静脈が青く網目のように見え、コプはほとんどなく、自覚症状もほぼありません。
加齢とともに増えますが、進行して伏在型静脈瘤になることはありません。
◎クモの巣状静脈瘤
皮膚表面の1mm以下の赤い毛細血管が拡張して、クモの巣のように広がります。
自覚症状はありません。
こちらも加齢とともに増えますが、伏在型静脈瘤になることはありません。
◎陰部静脈瘤
女性の外陰部や内股、太ももの裏側に起こる静脈瘤です。
妊娠出産時に骨盤内の静脈から起こります。
側枝型静脈瘤の一種ですが、生理中に痛みや足のむくみなどの症状が強く出るので治療が行われることが多いです。