あなたは何回発音できる? オーラルフレイルを評価する「パ・タ・カ」テストとは

コロナ禍での外出自粛などで、いま全国のシニアがフレイル(要介護の前の虚弱状態)の危機にあります。そこで、東京大学高齢社会総合研究機構の教授である飯島勝矢さんの著書『在宅時代の落とし穴 今日からできるフレイル対策』(KADOKAWA)より、自宅でできる感染予防や、要介護予防についてご紹介します。

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「パ・タ・カ」テストで舌と唇の動きをチェックしてみよう

連続して発音すれば、動きのよしあしがわかります

オーラルフレイルを評価する方法の1つに、「パ・タ・カ」テストがあります。

専門的な用語では、「オーラル・ディアドコキネシス」。

いわゆる、滑舌を評価するものです。

このテストでは、口腔機能の中でも唇と舌の動きの滑らかさ、速度をチェックします。

「パ」「タ」「カ」をそれぞれ5秒間ずつ、できるだけ早く、はっきりと発音し、何回、発音できたかをカウントします。

専用の計測機器もありますが、自宅などで行うときは、紙とペン、ストップウォッチ(スマートフォンに付属の機能などを利用しましょう)があれば大丈夫。

特別な機器を使わなくてもカウントできるので、下図を参考にしてやってみてください。

一音一音にはそれぞれ意味があり、「パ」は、唇の動きの評価で、咀嚼時に欠かせない唇が、速く巧みに動くかどうかを確かめます。

「タ」は、咀嚼したものを飲み込むときに使われる舌の先端部分が、きちんと動いているかどうかのチェックです。

「タ」の発音では、滑舌のよしあしもわかります。

そして「カ」は、咀嚼したものをのどの奥へ送り込む舌の根元部分の能力を評価するものです。

どれも1秒あたり6回以上発音できれば、舌や唇の動きは良好です。

しかし、1秒あたり6回未満だったとしても、がっかりしないでください。

このテストでオーラルフレイルの危険性に気づいたのですから、あとは口の力を鍛えるのみです。

テレビを見ながらでもできる簡単な口のトレーニングや、食事の前に行うとよいマッサージなどがあるので、試してみるとよいでしょう。

また、多様な食材を食べてバランスよく栄養をとること、歯ごたえのあるものを意識して食べること、継続的に運動をしたり、こまめに体を動かすこと、外出を増やし、一人で食事をする回数を減らすことなども、食力の維持を助けます。

感染症の流行中などには難しい場合もありますが、可能な範囲で口の機能維持につとめましょう。

続けて何回いえますか?
「パ」「タ」「カ」を5秒間ずつ発音してみよう

5秒間に「パ」と「タ」と「カ」をそれぞれ何回いえるかやってみましょう。息継ぎをしてもよいので、できるだけたくさん、はっきり発音してください。

紙とペンを用意して、5秒間、1回発音するたびにペンで紙に点を打ちます。終了後、点の数を数えて5で割った数が、1秒あたりに発音できた回数になります。

【パ】

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しっかりと噛んで食べるためには、唇の筋力が欠かせない。

【タ】

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上手に飲み込むためには、舌の先端部分がよく動き、上あごにしっかりつくことが大切。

【カ】

53_ka.jpg食べ物を食道に送るには、舌の奥の部分の動きが滑らかなことが大切。

【判定】
・1秒あたり6回以上発音できていれば問題ありません。
・6回未満の人は、口周りの筋力が弱っているかもしれません。日ごろから意識して口や舌を動かしましょう。

イラスト/中村知史

『今日からできるフレイル対策』記事リストはこちら!

71b6ze8LnIL.jpg要介護の手前の「フレイル」状態を防ぐために自宅でもできる健康法について、5章にわたって分かりやすく解説

 

飯島勝矢(いいじま・かつや)
東京大学高齢社会総合研究機構 機構長・未来ビジョン研究センター教授。医師、医学博士。フレイル(虚弱)予防のための大規模コホート研究およびシステムを構築し、なかでも市民フレイルサポーター主導型健康増進プログラム(通称フレイル・チェック)を推進している。

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『在宅時代の落とし穴 今日からできるフレイル対策』

(飯島勝矢/KADOKAWA)

新型コロナによる外出自粛、人との接触制御という生活不活発によって全国のシニアが「フレイル」の危機、同時に感染症リスクが高まっています。「要介護の前の虚弱状態」であるフレイルには可逆性があり、早く気づいて生活習慣を見直すことで進行を食い止め、健康な状態に戻ることができます。自宅でもできる感染・要介護予防法を実行して、フレイルを防ぎながらwithコロナ時代を前向きに過ごしましょう。高齢の親と離れて暮らす家族も参考になる一冊です。

※この記事は『在宅時代の落とし穴 今日からできるフレイル対策』(飯島勝矢/KADOKAWA)からの抜粋です。
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