女性の2人に1人ががんになる時代...「やってはいけない」9つの「食事」の新常識でがんを防ぐ

「がん」にかかることなく健康的に暮らすために。食事、生活習慣、そして検診の3つを通して「がん」を防ぐ方法を学んでみましょう。今回は健康増進クリニック 院長の水上治(みずかみ・おさむ)先生に「『がん』を防ぐためにやってはいけない食事」についてお聞きしました。

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がんを予防するには、正しい知識を身に付けることが大切

高齢化の影響もあって「がん」にかかる人の割合は年々上昇中。

1970年代に比べ、2倍以上に増加しているというデータも出ています。

いまや女性の2人に1人が「がん」にかかる時代です。

「医療技術が進み、早めに対処すれば治る場合も多く『がん』は死に至る病ではなくなってきています。正しい知識を身に付け、予防することで『がん』を遠ざけましょう」と水上先生。

楽しく健康的な毎日を過ごすために、食事や生活を見直し、「がん」を防ぐ生活習慣を身に付けましょう。

また、1年に1度は検診を受け、自身の体の状態を把握しておくことも大切です。

ここで紹介する「やってはいけない」ことを覚えて、あなた自身や大切な家族を「がん」から守ってあげましょう。

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がんの予防は免疫細胞の活性化が重要

私たちの体は細胞分裂という新陳代謝を行い、健康状態を保っています。

細胞分裂の際にコピーミスを起こした細胞が修復されず、また免疫細胞(リンパ球)により駆除されず残ると「がん」化します。

免疫細胞を活性化し増やすことが「がん予防」の最善策です。

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免疫細胞ががん細胞より多いと、がん細胞は全て食べられ「がん」にならない

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免疫細胞が少ないとがん細胞が残ってしまい、知らぬ間に増殖して「腫瘍」になる

「やってはいけない」食事編

免疫を高めるために、食生活の見直しを

日本は世界一の長寿国で、最も長命なのは日本人女性だといわれています。

すなわち、日本人女性の食習慣(和食中心の食生活)は、長生きをする、という観点から見たらある程度正しいということ。

しかし中には間違えて伝わっている情報もあり、そうした偽情報に踊らされないことが大切です。

「基本的に、これを食べたら絶対に『がん』にならない、という食べ物はありません。また、こげた食べ物を食べると『がん』になるというのも誤った情報。逆に『これを食べるとがんになりやすい』というものは数々の研究から分かってきているので、避けるようにしてください」(水上先生)

1.塩分を摂り過ぎるのはダメ

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1日6gが目安です

塩分の摂り過ぎは「胃がん」のリスクが高まります。和食はバランスが取れていて健康的ですが、塩分が多いのが最大のデメリット。塩鮭やたらこ、干物など塩分の多い食べ物を減らし、減塩を心がけましょう。

2.農薬を気にして野菜を食べないのはダメ

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農薬を気にして野菜の量を減らすのは逆効果。防カビ剤を使っている作物を食べている人の方が「がん」のリスクが下がるという研究結果も。「農薬や添加物はあまり気にせず野菜をしっかり食べるべき」と水上先生。

3.ナッツや穀類のカビを食べるのはダメ

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ナッツ類や穀類のカビから出るアフラトキシンという物質は「自然界最強の発がん性物質」といわれているので、絶対に食べないようにしましょう。また、カビを発生させないよう、食品の衛生管理を徹底しましょう。

4.トランス脂肪酸を摂るのはダメ

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植物油脂に含まれる「トランス脂肪酸」は、動脈硬化を促進し、免疫機能を低下させ発がんリスクを高めるとして、海外では使用を禁止する国も。

トランス脂肪酸入りの油脂を使った食品はなるべく避けましょう。

【こんなものに入っています】
●マーガリン
●ショートニング
●ケーキ
●揚げ物
●ドーナツなどの洋菓子
●ファットスプレッド(またはこれらを原料に使ったパン)

5.加工肉をたくさん食べるのはダメ

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世界保健機関(WHO)が「50gの加工肉を毎日のように食べると『大腸がん』のリスクが18%増加する」と発表。50gの目安は、ソーセージなら2~3本、ハムなら3~4枚。週に数回・適量を心がけましょう。

6.深酒をするのはダメ

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飲んでいいのは1日1合以内

お酒には心筋梗塞や脳梗塞のリスクを下げる効果がありますが、飲み過ぎると「食道がん」や「咽頭がん」のリスクがアップします。ビール350ml缶1~2本、日本酒1合程度が適量です。休肝日も作りましょう。

7.肉ばかり食べるのはダメ

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肉を食べる習慣がなかった日本人は、肉を消化しにくい体質をしています。食の欧米化が進み、肉を食べる人が増えた結果「大腸がん」のリスクが増加傾向に。肉を食べる日は週2~3日程度に抑えましょう。

8.熱い飲み物を飲むのはダメ

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国連のがん研究機関の発表によると、熱い飲食物(65度以上)を多く摂ると「食道がん」や「咽頭がん」のリスクが高まるとのこと。お茶やみそ汁などは熱々のままではなく、65度以下に冷ましてからいただきましょう。

9.かたよった食生活になるのはダメ

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米国の国立がん研究所の調査で、がん予防に効果がある物質を含んだ食品が分かっています(上のデザイナーフーズ・ピラミッド参照)。野菜や果物、きのこ類をまんべんなく取り入れることが、健康への近道です。

取材・文/和栗 恵 イラスト/木波本陽子
 

<教えてくれた人>

健康増進クリニック 院長
水上 治(みずかみ・おさむ)先生

医学博士、公衆衛生学博士。患者の立場に立った医療を展開中。『日本一わかりやすいがんの教科書』(PHP研究所)をはじめ、「がん」についての著書多数。

この記事は『毎日が発見』2021年10月号に掲載の情報です。
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