めまい発症はストレスの関わりが低いものと高いものが。例えばどんな疾患?/めまい・ふらつきの治し方

■ストレス関与別めまい疾患

「高齢者の平衡障害」

[起きやすい年齢]60~90歳くらいの男女

高齢者の各めまい疾患に伴って、ふらつきや揺れるめまいが起こります。

病院を回っても、はっきりとした原因がわからないケースが多く、「加齢のせい」「気のせい」と言われることが多く、家で寝たきりになってしまう患者さんもいます。

原因は左右片側の内耳機能の低下と加齢による全身機能の低下です。

安静にしていれば治ると考えていると、平衡機能を使う機会が減って平衡感覚が衰え、筋力の低下、骨粗しょう症が進行してしまいます。

高齢者でも取り組めるめまい改善訓練で、気力、体力、筋力を養いましょう。

高齢になると平衡機能やバランス感覚は落ちます

内耳の三半規管は、70歳台から機能低下が始まりますが、耳石は50歳台から、平衡機能の親分である小脳も50歳台から衰えます。

そして、前庭機能は、60歳台は50%低下、80歳台は90%も低下してしまいます。

高齢になると平衡機能やバランスはこんなに落ちるなんて怖いですね!

でも、全員がめまいを発症するわけではありませんのでご安心ください。

もし、めまいを発症したとしても、高齢者の方々はめまい改善訓練で小脳を鍛えれば、きっと改善できます。

立って訓練は高マークのところから始めてください。

宇宙飛行士の地球帰還後のリハビリと同じです

ご存じの通り、宇宙は無重力。

重力がないと人間の体に様々な変化が生じ、全身が急速に高齢化してしまいます。

例えば、耳石器が担う重力のセンサーが利かなくなり、宇宙酔いを引き起こすほか、骨量と筋肉量が大幅に減少するといった、加齢と同じ変化が急速に進みます。

これを改善させる地球帰還後のリハビリは、まさにめまい改善訓練そのものなのです。

近年のステイホームの影響で、身体活動が減少した高齢者や加齢性めまい、高齢者の平衡障害も、帰還後の宇宙飛行士と同じような状態。

訓練が必要です。

■ストレス関与別めまい疾患

「良性発作性頭位めまい症(BPPV)」

[起きやすい年齢]40~70歳くらいの女性

耳が原因のめまいのうち、最も患者数が多い病気です。

割合としてはめまいの疾患のうちの50%程度。

上を向いたときや下を向いたとき、寝返りなどの頭を動かす動作でめまいが起きますが、通常は数秒から数分で治まります。

寝たきり、運動不足、加齢などによって、内耳の耳石器にある耳石がたくさんはがれ落ちて、三半規管に入り込むことが原因です。

吐き気や嘔吐を伴うこともありますが、難聴や耳鳴りはありません。

再発率が1年以内に20%と高い病気です。


BPPVの耳石が移動する仕組み

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三半規管の付け根には耳石器があり、平衡感覚を感受。耳石器には、約1万粒の耳石があり、体の向きによって動きます。その振動がゼラチン状の耳石膜を通り、前庭神経を経て、脳に異常な信号として伝えられ、めまいを感じます。

BPPVのカナル型とクプラ型について
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「グルグル目が回る」「振り向くときクラっとする」「フラついて歩けない」などのつらい症状を改善できます。

 

新井基洋(あらい・もとひろ)
1964年、埼玉県生まれ。横浜市立みなと赤十字病院めまい平衡神経科部長。日本耳鼻咽喉科学会耳鼻咽喉科専門医、日本めまい平衡医学会専門会員・評議員。北里大学医学部卒業後、国立相模原病院、北里大学耳鼻咽喉科を経て現職。95年に「健常人OKAN(視運動性後眼振=めまい)」の研究で医学博士取得。96年、米国ニューヨークマウントサイナイ病院にて、めまいの研究を行なう。北里方式をもとにオリジナルのメソッドを加えた「めまいのリハビリ」を患者に指導し、高い成果を上げている。

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全国から患者が集まる耳鼻科医の めまい・ふらつきの治し方

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※この記事は『全国から患者が集まる耳鼻科医の めまい・ふらつきの治し方』(新井基洋/毎日が発見) からの抜粋です。

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