手指の痛みは病的な血管のせい? 血流を整えて痛みを改善する「テーピング」の方法と生活習慣の見直し

血流を整えて痛み改善

血管を健康にすることで手指のトラブルを解消

「手指の長引く痛みは、異常に増えた血管に原因がある」と奥野先生。

そこで、自分でできる予防と改善法を教えていただきました。

「いまある痛みを和らげるには、テープを使って痛い部位をカバーするテーピングがおすすめです。テーピングをすることで、血液の余計な流れを遮断して血流が緩やかになり、その近くにある神経への刺激も抑えられて痛みを軽減できます」。

テープは夜巻いて朝起きたら外すだけと簡単です。

【テーピングをする】

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痛みのある指にテープを巻いて、病的な血管への血液の流れをゆっくりとしたものに調整します。夜寝る前に巻くと、翌日の痛みが緩和します。

痛みのある関節に行う。

痛みのある関節を含めてテーピングをすることで、つらい痛みを改善させます。

●いつする? 
寝る前に巻き、朝起きたらはがす。

●強さは? 
指が少し圧迫されるぐらいの強さで。

●テープの種類は? 
サージカルテープの他、ばんそうこう、セロハンテープ、マスキングテープでも代用可。

《テープの巻き方》

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おすすめは、スリーエム(3M)の「マイクロポアスキントーン・サージカルテープ(※)(幅25mm)」。粘着力の強いテープは、はがすときに刺激になるので避けましょう。

※サージカルテープは、調剤薬局やドラッグストアで購入できます。

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痛みのある関節を含んで、指の付け根寄りにぐるっと1周巻きます。

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テープを巻いた指は、他の指と比べて少しうっけつした色になるぐらいの強さがベスト。


血管を健康にして痛みを予防・改善するには、生活習慣の見直しも必要です。

「異常な血管を減らすには、適度な有酸素運動もおすすめ。少し脈が速くなる程度の軽い運動を週2回ほどでかまいません。ストレッチも効果的です。楽しめる範囲で続けてください」

血管を柔らかくする

週2回、10~15分体を動かす。

有酸素運動やストレッチも、異常な血管の減少に効果的。

無理のない範囲で行いましょう。

〈 有酸素運動 〉
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適度な有酸素運動は、体の脂肪組織の性質を炎症タイプからノーマルタイプに変え、異常な血管を抑えるのに役立ちます。週2回、1日10~15分でいいので、少し脈が速くなる程度の軽い運動をしましょう。

〈 ストレッチ 〉

上半身の長引く痛みにはストレッチも有効。自然な呼吸でゆっくりと行います。続けることで、痛みを引き起こす血管をできにくくすることも。気付いたときに、何回でも行いましょう。

(10~15秒×左右各10回)

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背筋を伸ばして座り、片方の腕を前に伸ばす。指先は上向き。立って行ってもOK。

伸ばした手と反対側の手で、指を手前に引く。気持ちよい強さで行う。反対側も同様。


食事では、オメガ3系の脂質に注目を。

「特に積極的に摂りたいのがイワシやサバなどの魚の油。これら魚の油には、DHA、EPAという脂肪酸が多く含まれています。近年の研究では、DHA、EPAから生成される代謝物が抗炎症作用を発揮することが分かっており、長引く手指の痛みの予防や改善にも有効です。主菜を魚中心にすれば、オメガ3系の脂質を自然と増やすことができます」

気を付けたいことに、マッサージがあると奥野先生。

「長引く痛みのある部位を直接もんだり、さすったりすることで、異常な血管の流れを助長してかえって痛みが増してしまう恐れも。長引く痛みに悩んでいる方は、一度、マッサージをやめてみてください」

セルフケアで異常になった血管の改善に努めることで、痛みが薄らいでいくことが期待できます。

【炎症を抑える】

オメガ3系の油を多く摂る

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オメガ3 系脂肪酸には、血液を固まりにくくする、炎症を抑えるといった働きがあります。特に、魚の油に含まれるDHA、EPAは抗炎症作用が高くおすすめ。また、アマニ油やエゴマ油を1 日小さじ1 杯分摂取するのもいい。

【次回】「モヤモヤ血管」が手指の痛みを引き起こす!? 手指の症状チェックと治療法とは?

【まとめ読み】特集「手指の痛みがとれる『血流整え術』」記事リストはこちら!

取材・文/オフィス・エム(寳田真由美) イラスト/ノグチユミコ

 

オクノクリニック総院長
奥野祐次(おくの・ゆうじ)先生
慶應義塾大学医学部卒業。2012年、江戸川病院にて「長引く痛み」のカテーテル治療に従事、14年、カテーテルセンターセンター長就任。17年、オクノクリニック開院。著書に『へバーデン結節の痛みはモヤモヤ血管が原因だった』(ワニ・プラス)など。

この記事は『毎日が発見』2021年8月号に掲載の情報です。

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