自粛生活により運動不足、また身体動作の制約を受けて体に不調を訴える人も少なくありません。そもそも人間の体は基本的な立ち方、座り方、歩き方があると言います。そこで動作解析の専門家・夏嶋隆さんの著書『疲れないカラダ大図鑑』(アスコム)から体の基本的な姿勢、疲れないカラダのノウハウをご紹介します。
【前回】疲れない立ち方を身につけて体のストレスを減らせば日常から得をする/疲れないカラダ大図鑑
疲れない基本の座り方
「疲れない座り方」を説明する前に、「疲れる座り方」の例をいくつか挙げてみましょう。
まず注意したいのは、肩のラインと腰のラインが平行になっていない座り方です。
足を組んでいる人に多く、一方の肩が上がって肩と腰のラインがずれていると、背骨が湾曲して頭の重さを支えきれず、腰痛の危険性が高まります。
そのときはラクな姿勢でも、じわじわと筋肉にダメージが与えられている状態です。
椅子に浅く座った女性に多いのが、膝をくっつけて足首を離している「ハの字型」の座り方です。
膝の角度が鋭角になり、足指のつけ根を折って体を支えているため、つねにふくらはぎが緊張を強いられている状態になります。
この座り方だと、最初のうちは背中を反らせて姿勢をよくしていても、足と腰が疲れやすいため、しだいに頭が前に出て猫背になってしまいます。
こうなると、重力のダメージをもろに受け、肩こりや首痛なども起きやすく、全身がクタクタになってしまいます。
長時間のデスクワークには、絶対向かない姿勢です。
椅子に浅く座った男性に多いのが、両膝を離して座り、中央に両足を置いて、拇指球で支える「O字型」の座り方です。
この座り方も膝が鋭角になり、足指のつけ根を折ってしまっているので、ふくらはぎへの負担は強烈です。
これらの点を改善すると、
・背もたれまで深く座る
・肩と腰のラインを平行にする
・膝の角度を鋭角にしない
・足指のつけ根を折って支えない
これが、人体構造的に正しい「疲れない座り方」となります。
具体的には以下の2パターンがオススメです。
【疲れない座り方1】
①背もたれまで深く座る
②両膝と両足首をそれぞれくっつける
③足を椅子の前に置き、膝の角度を鈍角にする
④足の裏全体を地面に置く
この座り方は骨格的に女性が向いています。
足首をくっつけたままなら、足の置く場所は右でも左でも構いません。
テレビに出演している女性アナウンサーたちはこの座り方をしていることが多いですよね。
見た目も上品になります。
【Point】
背もたれまで深く座り、両膝と両足首をそれぞれくっつける。足首をくっつけていれば、足は左右に振れていてもOK。
【疲れない座り方2】
①背もたれまで深く座る
②両膝と両足首をともに開く
③足は椅子の前に置き、膝の角度を鈍角にする
④足の裏全体を地面に置く
この座り方は男性向きです。
正直なところ偉そうに見えますが、「疲れない」という視点では最高の座り方です。
どちらの座り方も、顔の位置は固定し、上半身は背骨を使って定期的に動かすようにしましょう。
支持筋への負担を減らすことができます。
【Point】
背もたれまで深く座り、両膝と両足首をともに開き、足の裏全体を地面に置く。背もたれにもたれかからなければ、印象はよくなる。
疲れない腰の下ろし方
デスクワークを中心に働いている人は、日中の大半の時間を座りながら過ごしています。
「座る」という動作は、一見体を休ませているような印象がありますが、それは心肺機能だけの話で、悪い座り方をしていると、疲れをため込む原因になります。
ここでは、椅子への腰の下ろし方を紹介しましょう。
【体に負担をかけない腰の下ろし方】
①膝の後ろ側が椅子に軽く触れる位置に立つ
②椅子との距離感を確認しながら背もたれまで深く座る
腰を下ろすときに、膝の後ろ側と椅子の距離が遠いと、浅く座ってしまいます。
浅く座ると、膝が鋭角に曲がり、足指を折って支える姿勢になりがちです。
「膝が鋭角」「足指を折る」は、筋肉を緊張させてしまうため、疲れを呼ぶ大きな原因になります。
背もたれまで深く座れば、自然と膝は鈍角(90度以上)になりやすくなります。
腰を下ろす段階で浅く座らないようにするのが、「疲れない座り方」の基本となります。
【Point】
膝の後ろ側が椅子に軽く触れる位置に立ち、背中が背もたれにつくように深く座る。浅い座り方は疲れをため込む原因となるのでNG。
【次回】かかとから着地をしない! 疲れない歩き方の新常識、5つのポイント!/疲れないカラダ大図鑑
間違った体の使い方をすると不調が出やすい。基本的な動作、疲れない体を作る方法など全11章に渡り公開