ちょっと落ちてきてる? バランス能力チェック
では、この「バランス能力の低下」をどう補うかと言うと、ひとつが「足を広げる」ことです。
足を広げると、内側に倒れようとする力を左右から合わせ、安定を保つことができます。
また、支持する面が広いほど、動揺は吸収されます。
ハイヒールを履いたり、足を揃えて立ったりするのは、つまり動揺しやすい姿勢で、若さがなければできないことになります。
とはいえ、無限に足を外に広げるわけにもいきませんよね。
また、歩くときには、体を支える足は1本しかありませんから、広げるというのはそもそもできないことです。
そこで、バランス能力の低下を補うもうひとつの方法が、「他の力を借りる」ことです。
「杖をつく」のはまさしくそうですね。
1本より2本、2本より3本で支えるほうが安定性が高まる。
そういうことです。
立ち上がるときやエスカレーターで立っているときなど「手すりにつかまる」のも、手すりの力を借りて補っているのです。
これらは意識してするというより、無意識にしていることが多いものです。
ここで、ちょっとチェックしてみましょう。
下のチェックシートに、いくつ○がつきますか?
○が1つでもついたら、バランス能力が低下しつつあるかもしれません。
でも大丈夫です。
バランス能力はちょっとしたトレーニングで、十分取り戻せる可能性があります。
●バランス能力チェック
1.背もたれに寄りかかると、いつの間にか寄りかかりが強まり姿勢が崩れる
2.立ち上がるとき、無意識に椅子の肘当てやテーブルを手でつかんでいる
3.低いソファからの立ち上がりが苦手。一度で立てなかった経験がある
4.椅子に座るとき座面を確認したり、手で迎えに行ったりすることが増えた
5.後ろから声をかけられて振り向く際に、ふらついた経験がある
6.床に物を落としたときは、何かにつかまって拾うことが増えた
7.倒れそうになったとき、1歩足を出すのが前より遅れているように感じる
8.杖がないと外出は少し不安だ
9.エスカレーターでは手すりを積極的に握っている
10.床が濡れていると思うと慎重になってしまう
11.浴槽に入るときは手すりを使ったり壁を触ったりすることが増えた
12.靴下を履くとき、寄りかかったり座ったりしないと難しい
13.ズボンを履くとき、立ったままだと不安である
14.高いところにあるものをとるため、つま先立ちするとふらついて難しい
15.食器を下げるとき、両手で持って歩くと箸やスプーンを落としそうで不安なことがある
16.階段の登り下りで足を出す順番やタイミングがずれ、踏み外しそうになったことがある
17.下り坂では小刻みになってしまう
18.階段を降りるとき、無意識に一度速度を落として足を出す
19.自転車の走り出しでぐらついてしまう
20.電車やバスの降車の際、降りる人の波が少し不安だ
【次回】加齢で低下する「バランス能力」の3つの要素/転ばない体を2カ月でつくる
イラスト/中村加代子
簡単なトレーニングや環境づくりで転倒は防げる! 医師と理学療法士が6章にわたって「転ばないための体作り」を教えてくれます