「新型コロナワクチン」予防効果や安全性...どうなる? 専門家が答える「7つの疑問」

いよいよ始まった新型コロナウイルス感染症のワクチン接種。いざ自分自身が接種をするときには、知りたいことや不安に思う事もあるのではないでしょうか。効果は? 痛みや副反応は? など、みなさんの疑問や不安に、病理医でウイルス学の専門家である峰宗太郎(みね・そうたろう)先生がお答えします。

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【疑問1】従来のワクチンと何が違うの?

「今回接種が始まるm(メッセンジャー)RNAワクチンは、ウイルスの表面にあるSたんぱく質というものをターゲットにして、新型コロナウイルスに対する免疫をつけさせるのが目的です。ワクチンを接種すると、体内でSたんぱく質が産生され、免疫を誘導します。いわば、免疫獲得のための設計図のようなもの。従来の生ワクチン(生きたウイルスを弱毒化したもの)や不活化ワクチン(ウイルスの感染能力を失わせたもの)などとは全く異なる、新しい技術を用いて世界で初めて実用化されたものです」

【疑問2】ワクチン接種で期待できる効果は?

「ワクチンには発症予防、重症化予防、感染予防の3つが期待されます。mRNAワクチンの場合、発症予防効果は95%程度。これはたとえ感染しても発症するリスクが極めて低いということです。また、重症化を防ぐ効果もあることが分かっています。感染予防に関しては明確ではありませんが、どうやらあるようだとみられます。変異ウイルスについても、多少の違いはあっても効果を期待できます」

《有効性は90%以上 その意味合いは?》
大規模な臨床研究によって、mRNAワクチンの予防効果は90%以上と示されています。これは、「ワクチンを接種しなかった人の発症率よりも接種した人の発症率の方が90%少なかった」という意味。言い換えれば、「発症リスクが、10分の1になる」と言えます。これは、従来のワクチンと比べても極めて高い数値です。

従来のワクチンの予防効果は?
インフルエンザワクチン:30~60%
麻疹ワクチン:95%

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【疑問3】筋肉注射って痛くないですか?

「日本は皮下注射が一般的ですが、世界のスタンダードは筋肉注射です。痛みに関しては個人差がありますが、インフルエンザワクチンと変わらないぐらいと考えておいて大丈夫でしょう。私も接種しましたが、筋肉痛のような痛みが数日あった程度です」

【疑問4】安全性は? アレルギーがあっても接種できますか?

「mRNAワクチンは、世界中ですでに6000万回以上打たれています。ですが、深刻な副反応は報告されていません。しかし、どんなワクチンでも副反応はあります。今回多く見られるのは、だるさや寒け、注射した部位の痛みなどで、いずれも数日で解消しています。アレルギーがある人も接種できます。最も心配されるのはアナフィラキシー反応(全身に現れる激しいアレルギー症状)。ファイザーでは、190万人中21人に、モデルナでは400万人中10人にアナフィラキシー反応が起こったとのことです。71%の人が接種後15分以内、86%が30分以内にアナフィラキシーを起こしており、その場で迅速に対応すれば命に関わることはありません。これまで深刻なアナフィラキシーショックを起こしたことがある方は、慎重に様子を見るようにしてください」

これまで報告された主な副反応
・倦怠感
・筋肉痛
・寒け・悪寒
・頭痛
・不快感
・関節痛
・発熱
・動悸  など

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【疑問5】ワクチンの効果はどのくらい続くの?

「今回のワクチンの臨床研究は期間が短く、どれくらい効果が持続するのかについては情報がありません。しかし、接種から5カ月経過しても中和抗体の値が落ちていないことは分かっているので、1年程度は持つのではないかと思われます。はっきりとしたことは、今後明らかになってくるでしょう」

【疑問6】どれくらいの人が接種したら流行はおさまる?

「ワクチンが国民全体の6~7割に行き届き、なおかつ流行がある程度おさまった状態であれば、現在の混乱から抜け出ることができます。そのためにも、早めのワクチン接種が大切です」

【疑問7】ワクチンを接種すれば感染予防はしなくていい?

「ワクチンの予防効果は100%ではありません。また、抗体がつきにくい人もいます。ですから、まずはワクチン接種。副反応が怖いという方もいるでしょうが、感染したときの重症化リスクを考えれば、どちらの方が良いでしょう? また、流行がおさまるまでは、マスクの着用、こまめな手洗い、三密の回避は継続してください。ただ、空間除菌をしたり、買ってきたもの全てを消毒したりといった過剰な対策は必要ありません。継続可能な対策をコツコツと続けていきましょう」

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※掲載内容は2月10日時点の情報に基づいています。

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取材・文/寳田真由美 イラスト/上路ナオ子

 

<教えてくれた人>
米国立研究機関博士研究員
峰 宗太郎(みね・そうたろう)先生
医師(病理専門医)、薬剤師、博士(医学)。国立国際医療研究センター病院、国立感染症研究所等を経て現職。近著は『新型コロナとワクチン 知らないと不都合な真実』(日経プレミアシリーズ)。

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この記事は『毎日が発見』2021年3月号に掲載の情報です。

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