骨が溶け、短くなるものも...。「関節リウマチ」で手の指に起こる「代表的な5つの変形」

患者&予備軍が700万人に上るといわれ、痛みとともに手指が曲がってしまう難病の「関節リウマチ」。これまで「不治の病」と思われてきたこの病気の治療法は、実は新薬の登場で劇的に変化しているのだそうです。そこで、10万人の患者を救ってきたリウマチの専門医・湯川宗之助さんの著書『リウマチは治せる! 日本一の専門医が教える「特効ストレッチ&最新治療」』(KADOKAWA) より、「リウマチを治すための最新情報」をご紹介します。

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手の指に起こる代表的な5つの変形

すでにお話ししたように、関節リウマチは全身のどこで起こっても不思議ではありません。

そして、病気の進行を許してしまえば、手の指には関節リウマチ特有の変形が起こってきます。

代表的な手指の変形としては、以下のような種類があります。

●スワンネック変形

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第3関節が曲がり、第2関節が反り、指先の第1関節が曲がって、"白鳥の首のような形"になる。

●ボタン穴変形(ボタンホール変形)

骨が溶け、短くなるものも...。「関節リウマチ」で手の指に起こる「代表的な5つの変形」 037_手の指に起こる特有の変形_5.jpg第2関節が曲がり、第1関節が反って、"ボタンの穴のような形"になる。

●尺側偏位(しゃくそくへんい)

骨が溶け、短くなるものも...。「関節リウマチ」で手の指に起こる「代表的な5つの変形」 037_手の指に起こる特有の変形_3.jpg親指を除く4本の指が、すべて尺側(小指側)を向く。

●Z字変形

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親指の第1関節が反り、"ヒッチハイクをするときのような形"になる。

●ムチランス変形(オペラグラス変形)

骨が溶け、短くなるものも...。「関節リウマチ」で手の指に起こる「代表的な5つの変形」 037_手の指に起こる特有の変形_1.jpg骨が破壊されて溶けてしまい、指が短くなる。また、筋肉や皮膚がたるんで、指に力が入らなくなる。

実は、私が「リウマチ専門医になる」という最終決断を下したきっかけは、まさに手指の変形でした。

あれは、私がまだ研修医だった頃。

20代の若い女性患者さんが通院されていたのですが、彼女の手の指と手首はすでに変形しており、日常動作も不自由な様子でした。

そしてそのとき、私は思ったのです。

「この女性の人生は、リウマチによって制限されてしまうだろう......。どうしたら関節を変形させないですむのか?」

その答えも、やはり早期診断・早期治療に行き着くのです。

もし、関節リウマチがすでに進行しているかたでも、骨びらんが現れた段階で食い止めれば、"変形のない人生"を送ることにつながり、家事や仕事への悪影響を少なくしていくことができます。

となればやはり、関節機能をできるだけ維持するために、早期発見・早期治療が必須のこととなるわけです。

近年話題の病気「ヘバーデン結節」とはココが違う

最近の診療では、"手の指の痛みや変形"というキーワードが似ていることもあってか、話題になっている「ヘバーデン結節」という病気と関節リウマチの違いを、よく質問されることがあります。

そこで、この両者の相違点については、簡単にご説明しておきましょう。

いちばんの違いは、症状の現れる関節です。

ヘバーデン結節で症状が現れるのは、指の第1関節(DIP)です。

一方、関節リウマチで症状が現れるのは、第2関節(PIP)か、第3関節(MCP)です。

そして、関節リウマチが第1関節に起こることは、まずありません。

第1関節に現れた腫れや痛み、変形などは、ほかの病気を疑いましょう。

ちなみに、関節リウマチのほかにも、第2関節に症状が現れる病気があります。

代表的なのは「ブシャール結節」という変形性関節症で、その関節を触ると骨の端がボコッと尖ったように感じられます。

それに対し、関節リウマチでは紡錘(ぼうすい)状にふくらんで腫れるので、ブニュブニュとした感覚があるはずです。

しかし、ブシャール結節と関節リウマチが、第2関節で併発することも少なくありません。

ですから、やはり時間を無駄にせず、診察を受けることが先決です。

血液検査やレントゲン検査、必要があれば超音波の検査なども行うことで、正確な診断・治療を速やかにスタートできます。

【まとめ読み】『リウマチは治せる!』記事リストはこちら

イラスト/松野 実

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関節リウマチの正しい知識や、最新治療を受けるためのアドバイスを5章にわたって解説

 

湯川宗之助(ゆかわ・そうのすけ)
湯川リウマチ内科クリニック院長。父、兄ともにリウマチの専門医というリウマチ医一家に生まれる。2000年、東京医科大学医学部医学科卒業。親子2代で50年以上にわたりリウマチの研究を続け、患者数や症例数は日本一を誇る。日本リウマチ学会専門医・評議員。

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『リウマチは治せる! 日本一の専門医が教える「特効ストレッチ&最新治療」』

(湯川宗之助/KADOKAWA)

患者と予備軍をあわせて約700万人に上るといわれる関節リウマチは、痛みとともに手指が曲がってしまう“難病”として多くの人に知られています。しかし、新薬の登場で関節リウマチの治療法は大きく変化しているそう。関節リウマチの正しい知識や、最新治療を受けるためのアドバイス、病院選びのポイントや、痛みを悪化させない生活習慣のコツなど、「リウマチを治すための最新情報」が満載の一冊!

※この記事は『リウマチは治せる! 日本一の専門医が教える「特効ストレッチ&最新治療」』(湯川宗之助/KADOKAWA) からの抜粋です。
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