女性の患者数は...男性の5倍!? 「関節リウマチ」発症のメカニズム

患者&予備軍が700万人に上るといわれ、痛みとともに手指が曲がってしまう難病の「関節リウマチ」。これまで「不治の病」と思われてきたこの病気の治療法は、実は新薬の登場で劇的に変化しているのだそうです。そこで、10万人の患者を救ってきたリウマチの専門医・湯川宗之助さんの著書『リウマチは治せる! 日本一の専門医が教える「特効ストレッチ&最新治療」』(KADOKAWA) より、「リウマチを治すための最新情報」をご紹介します。

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女性の患者数は、男性の5倍! 関節リウマチ発症のメカニズム

調査結果や報告によって多少の違いはありますが、関節リウマチの患者数は、男性1に対して、女性は4~5と言われています。

つまり、関節リウマチは、男性に比べて女性は4~5倍も多い病気なのです。

これは、関節リウマチだけに限られたことではなく、自己免疫疾患の病気全般に当てはまることです。

女性に多い理由としては、「女性ホルモンと関係している」とする説が有力で、具体的にはエストロゲン(卵胞ホルモン)とプロラクチン(乳腺刺激ホルモン)が関与しているとされています。

なぜなら、これらの女性ホルモンは、自己抗体(自分の体の組織・細胞・成分を間違って攻撃してしまう物質)の働きや、免疫反応を促す物質(サイトカインなど)を活性化させやすく、それだけに自己免疫反応に異常をもたらしうるからです。

ただし、女性ホルモンが直接的に病気を引き起こすわけではありません。

最大の原因は、あくまでも免疫機能の異常であり、それに加えて女性ホルモンが"病気の後押し"をしていると考えるべきです。

女性では月経のある年代で発症しやすいことがわかります。

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また、初経の早い女性では、血液検査でわかるリウマチ因子(RF/リウマトイド因子)の数値が20以上の陽性になって発症する率が、高くなるという研究報告があります。

経口避妊薬(ピル)を飲んでいる女性では、体がエストロゲンの分泌・活動を抑える方向に働くことが関係しているのではないかと考えられ、結果として関節リウマチの発症率が低下していたという報告もみられます。

さらに、関節リウマチの患者さんが、妊娠・出産・授乳の過程を経るなかで、関節リウマチの症状に以下のような変化が起こりやすいこともよく知られています。


● 妊娠中:男性の精子や、胎児の細胞を、異物と認識して攻撃・排除してはいけないため、免疫機能が抑えられる→関節リウマチの症状が軽くなる

● 出産後:抑えられていた免疫機能が戻るが、それが急激に行われると、反動で免疫の働きが一気に高まる→関節リウマチの症状が悪化する

● 授乳中:乳腺の発達や、母乳の分泌を促進するプロラクチンの働きが高まる→関節リウマチの症状が悪化する


こうしたことから、女性ホルモンと関節リウマチには相関関係があるはずですが、実際には自力で女性ホルモンの分泌量を調節することなどできません。

ひとことで言えば、"防ぎようのないもの"で、それは私もよくわかっています。

ですから現実的には、知識として蓄えておき、「該当する期間にはいっそう注意する」という意識を持てば十分だと思います。

また女性ホルモンのほかに、リウマチの発症に関わるものとして、ストレスやタバコが挙げられます。

ストレスは女性ホルモン同様に完全には防げないものですが、うまく解消することを心がけましょう。

タバコについては、そのリスクを正しく知ることで、止めるという決断をしてほしいと思います。

関節の腫れや痛みが起こる原因とは?

さて、ここで一度、これまでの内容を簡単におさらいしてみましょう。

まず、関節リウマチには、意外とも思える初期症状があるということ。

そして原因としては、主に免疫機能の異常があり、その「異常な自己免疫反応」がベースになって症状が起こり、女性ホルモンなどの要因も複雑に絡み合って発病するというものでした。

そこでここからは、関節リウマチという病気によって、関節の中でどのような変化が発生するのかみていきましょう。

関節リウマチは通常、関節全体を覆っている袋状の組織(関節包)の内側にある「滑膜(かつまく)」という組織に炎症が起こることから始まります。

つまり、自らを"異物"と誤認して攻撃してしまうという、異常な自己免疫反応が滑膜に起こり、炎症が発生するということです。

この滑膜の炎症が、関節リウマチによる腫れ・こわばり・痛み・指の変形など、すべての症状の"引き金"となるわけです。

滑膜という組織の名は、一般にはあまり知られていないかもしれませんね。

しかし、この滑膜は、関節の働きにおいて重要な役割を果たしています。

下にある図を見てください。

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関節の骨と骨の端の表面部分は、弾力性のある「軟骨」で覆われています。

そして、「クッションのように衝撃や負荷を緩和する」「骨どうしが直接ぶつかるのを防ぐ」「関節を滑らかに動かす」などの働きをしています。

そうした軟骨の働きを見事にサポートしているのが、滑膜です。

非常に薄い膜でありながら、関節腔(関節内のスペース)に関節液を分泌したり吸収したりして、これも"水枕のようなクッション"になり、軟骨どうしの"潤滑油"の役割も果たし、軟骨自体への栄養補給も行っていることになります。

ところが、滑膜に炎症が起きてしまえば、当然ながら正常な機能をまっとうできなくなります。

そして、炎症によって滑膜は充血して腫れ上がり、1mm未満だった厚さは何倍にもふくれ上がり、関節腔には関節液がたまり続けます。

こうして、関節リウマチ特有の腫れが起きるのです。

また、炎症性サイトカインやプロスタグランジンという発痛物質も、たくさん作られるようになります。

関節液を通じて、これらの物質が滑膜にある神経を繰り返し刺激することで、痛みも発生します。

そのうえ、こうした滑膜の炎症が自然とよくなることは非常に少なく、むしろ滑膜が腫れてむくんでいることが神経を圧迫することになるため、さらに痛みが増していくのです。

【まとめ読み】『リウマチは治せる!』記事リストはこちら

イラスト/松野 実

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関節リウマチの正しい知識や、最新治療を受けるためのアドバイスを5章にわたって解説

 

湯川宗之助(ゆかわ・そうのすけ)
湯川リウマチ内科クリニック院長。父、兄ともにリウマチの専門医というリウマチ医一家に生まれる。2000年、東京医科大学医学部医学科卒業。親子2代で50年以上にわたりリウマチの研究を続け、患者数や症例数は日本一を誇る。日本リウマチ学会専門医・評議員。

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『リウマチは治せる! 日本一の専門医が教える「特効ストレッチ&最新治療」』

(湯川宗之助/KADOKAWA)

患者と予備軍をあわせて約700万人に上るといわれる関節リウマチは、痛みとともに手指が曲がってしまう“難病”として多くの人に知られています。しかし、新薬の登場で関節リウマチの治療法は大きく変化しているそう。関節リウマチの正しい知識や、最新治療を受けるためのアドバイス、病院選びのポイントや、痛みを悪化させない生活習慣のコツなど、「リウマチを治すための最新情報」が満載の一冊!

※この記事は『リウマチは治せる! 日本一の専門医が教える「特効ストレッチ&最新治療」』(湯川宗之助/KADOKAWA) からの抜粋です。
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