患者&予備軍が700万人に上るといわれ、痛みとともに手指が曲がってしまう難病の「関節リウマチ」。これまで「不治の病」と思われてきたこの病気の治療法は、実は新薬の登場で劇的に変化しているのだそうです。そこで、10万人の患者を救ってきたリウマチの専門医・湯川宗之助さんの著書『リウマチは治せる! 日本一の専門医が教える「特効ストレッチ&最新治療」』(KADOKAWA) より、「リウマチを治すための最新情報」をご紹介します。
リウマチの「基本のキ」がわかるQ&A
「リウマチ」になる原因や症状について、正しい基礎知識を身につけましょう。
Q.そもそも、リウマチってなんですか?
A.免疫機能の異常によって起こる病気です。
「リウマチ」とは運動器(関節・筋肉・腱・靭帯など)の病気の総称で、正式な病名は「関節リウマチ」です。
関節リウマチの原因については、いまだ決定的な答えは出ていません。
しかし、主な原因は、体に備わっている「自分の体を異物から守るシステム」=「免疫機能」の異常とされています。
本来は、この免疫機能が備わっているおかげで、体内に細菌やウイルスが入ってきたとしても、それらを攻撃・排除して病気にならないメカニズムが働いています。
ところが、自分の体の中にある細胞や成分を" 異物" と誤って認識するとそれらに対する異常な免疫反応が起こり、体内の細胞や成分を攻撃・排除するメカニズムを働かせてしまうのです。
こうして引き起こされる病気は「自己免疫疾患」と呼ばれ、関節リウマチは代表的な病気のひとつです。
Q.リウマチって、高齢者の病気ですよね?
A.まったく違います。
発症のピークは40代です。
関節リウマチは、症状の出やすい部位や痛みという共通点があることから、変形性関節症や神経痛と混同されやすく、年配者に多いイメージがあるようです。
しかし、実際はまったく違います。
30~50代で発症することが多く、ピークは40代です(下のグラフを参照)。
リウマチと診断された年齢
出典:『2015 年リウマチ白書』
働き盛り、子育ての真っ最中という期間に起こりやすく、忙しさから病院の受診を先延ばしにしないよう注意が必要です。
Q.体のどこに、どんな症状が現れるんですか?
A.関節の痛み・腫れ・こわばりや、手指の変形も起こります。
関節リウマチは、動かせる関節(可動関節)のほとんどで起こる可能性がありますが、とりわけ起こりやすいのは、手や足にある中小の関節。
特に頻発するのは、手の指や手首などの「手の関節」です。
なかでも、手の指の第2関節(PIP 関節)・第3関節(MCP関節)から発症するケースが非常に多いと言えます。
ただし、肩関節・ひじ関節・股関節・ひざ関節・足関節(足首)・背骨の首部分(頸椎)の関節・顎関節などがおかされることも少なくありません。
発症したご本人が自覚する症状としては、まず、朝の関節の痛み・腫れ・こわばり・動かしづらさなどが挙げられます。
病気が進行してしまうと、骨や関節の変形・破壊なども起こってきます。
Q.治すためにいちばん重要なことは?
A.早期の診断・治療で、発症初期の急速な悪化を防ぐことです。
とにかく重要なのは、早期診断と早期治療です。
下のグラフをご覧ください。
関節破壊の進行スピード
出典:HOWARD FUCHS, JEREMY J. et al. J Rheumatol 1989; 16: 585-91
従来は、関節リウマチによる関節破壊は10年以上をかけてゆっくりと進むと考えられていましたが、実際にはもっと速いスピードで起こっています。
「関節リウマチを発症したかたについてレントゲン検査を半年ごとに行うと、2年以内に30%の人で関節破壊が確認された」というデータが発表されているのです。
しかも、特に発症から6カ月以内という短期間で、関節が壊される割合が急上昇しています。
ですから、早期の診断と治療によって、こうした急速な悪化をいかに回避できるかが、関節リウマチを克服するカギとなります。
将来の" 見た目の変形" を抑えるためにも、薬を必要としない完治の状態に進むためにも、きわめて大切なことといえるのです。
イラスト/松野 実
関節リウマチの正しい知識や、最新治療を受けるためのアドバイスを5章にわたって解説