米処、新潟ではお昼にお弁当で冷やご飯を食べている。そのことがダイエット、整腸作用をもたらすキッカケに!

平均寿命が80歳を超え、いまや長生きが目的ではなく、「いかに健康に生きるか」という時代に突入しています。全国を見渡すと、新潟県は高齢者の1人当たりの医療費が最も少ない地域。つまり、医者に頼らない、元気なお年寄りが多いところです。そこで、新潟県出身の循環器専門医・五十嵐祐子先生の著書『医師がすすめる新潟式食事術 長生きの秘けつがここにありました。』(アスコム)より、地元の伝統料理や食材と健康長寿の関係や健康的に長生きできるヒントをご紹介します。

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「お米は太るから体に悪い」は本当?
お米パワーを再確認!

新潟といえばやっぱりお米!

米どころ新潟県は全国でお米の収穫量第1位(「平成30年産水陸稲の収穫量」農林水産省統計)。

コシヒカリなどおいしいお米がたくさんとれます。

東京でも新潟産のお米を食べるのですが、それでもなぜだか、地元に帰ると、やっぱりご飯がおいしい!新潟に帰ってきてホッとする瞬間です。

新潟米というと中越地方の魚沼産のコシヒカリが有名ですが、佐渡も含め、上越も下越各地域でも、それぞれおいしいお米づくりに取り組んでいます。

そんな県ですから、もちろん、お米はよく食べられています。

消費量は全国で第5位となっております。

さて、こんなにおいしいお米にもかかわらず、食文化の欧米化に加え、近年の糖質制限ブームの影響もあるのでしょうか。

お米の消費量はどんどんと減っていっているのが事実です。

「お米は糖質が高いから、太るから」と避ける人が多くいるように見受けられます。

ただ、あまりにも極端に避け続けているのには、疑問を持ちます。

ここで問題です。

Q:先進国の1万5000人を対象に行われた大規模調査で、全カロリーの何%を糖質で補う人が最も死亡率が低かったでしょうか?

正解は、50~55%です。

この、50~55%という数字、ご飯でとるとすれば、標準的な大人の場合、毎食茶わんに1杯程度が適量だといいます。

確かに、糖質制限は体重を落とすことには効果があるようですが、ただヤセても、体を危険にさらしていては意味がありません。

もちろん食べすぎはだめですが、そこまで避けなくてもよいのではないでしょうか。

いずれにしても、ご飯は日本人の主食として食べ続けられ、私たちのDNAの中に刻み込まれている食べ物です。

古代からお米を食べ続けたことによって、日本人は、太らない遺伝子や腸内細菌を得たという話もあります。

栄養価の数字以上に、私たちの体と健康に合った食べ物ではないでしょうか。

お米の健康パワーを最大限に引き出す新潟県民の食べ方とは?

冷やご飯をよく食べている新潟県民さらにいえば、新潟県民は、素晴らしいお米の摂取方法を、知ってか知らずか行っていました。

それは、冷やご飯を食べている頻度が高いということです。

どういうことかというと、実は新潟県民はお弁当を持参する人が多い!

ニチレイフーズが行った「47都道府県のお弁当事情に関する調査」で、「平日ほぼ毎日お弁当をつくる」と答えた人の割合が多かった県の1つが新潟県でした。

2018年こそ6位でしたが、前年の2017年の調査では32・7%で1位。

約3分の1の人がほぼ毎日お弁当をつくって食べているのです。

冷やご飯には整腸効果、ダイエット効果があることがわかっています。

その秘密が今第三の食物繊維といわれ、酒粕のところでも紹介した「レジスタントスターチ(難消化性でんぷん)」です。

通常でんぷん質は私たちの体内にあるアミラーゼなどの消化酵素によって分解、吸収されます。

ところがこのレジスタントスターチはでんぷんであるにもかかわらず、消化吸収されにくく、食物繊維と同じような働きをするのです。

それによって整腸作用が促されるとともに、カロリーや糖質摂取が抑えられ、ダイエットにもつながるのです。

さらにでんぷん質は、レジスタントスターチになると、カロリーは半分適度になるといわれています。

このレジスタントスターチは加熱すると分解してしまいますが、冷えると再結晶する性質があります。

ですから温かいご飯よりも、冷やご飯のほうにたくさん含まれています。

昔の人は現代の私たちよりもずっと冷やご飯を食べていたと思います。

特に新潟県は昔から農業従事者が多く、農作業などで仕事をして、昼ご飯はおにぎりやお弁当が多いのです。

また、食事のたびにお米を炊くのは時間の無駄ということで、朝1日分炊いて、昼と夜はそのまま冷やご飯を食べる家も多かったようです。

かつては温かいご飯より、冷やご飯を好んで食べる人が結構いたという話を聞きます。

冷やご飯にレジスタントスターチが多いということは、昔の人は知らなかったでしょうが、結果的に体によい食事をしていたわけです。

お弁当の持参率の高い新潟県民は、結果としてレジスタントスターチのたくさん含まれた、食物繊維の多い食事をとることになるわけです。

もちろん、すべての食事のご飯を冷まして食べればいいのですが、とはいえホカホカご飯のおいしさは格別なものがあります。

全部って考えると「ムリ!」と思う人も少なくないのではないでしょうか。

だからこそ、せめてお昼にお弁当やおにぎりなどの、冷やご飯を食べるのがよいように思います。

特に新潟米は冷めても甘味があっておいしいですからね。

冷やご飯にはレジスタントスターチ以外にも、効用があります。

それは、冷やご飯のほうが温かいご飯よりもかたくなるため、よく噛かむようになるということです。

よく噛むことで、満腹中枢が刺激され満足感が高まっていくので、自然に食事の量が少なくてすむのです。

また、お弁当ならついつい「大盛り」を頼むこともないですし、量、カロリーを自然とセーブした食事になるはずです。

レジスタントスターチの効用とは?

ここで、レジスタントスターチの効用を詳しくみてみましょう。

レジスタントスターチはお米だけでなく、インゲン豆、トウモロコシ、大豆、小麦、ジャガイモなどにも含まれています。

レジスタントスターチは難消化性でんぷんと呼ばれるように、小腸内で消化されずに大腸まで送り届けられます。

まさに食物繊維と同じような働きをするのです。

レジスタントスターチをとることで、以下の4つが期待できるといわれています。

●便通の改善

消化されずに大腸まで送り届けられたレジスタントスターチは食物繊維と同じく腸を刺激することで便通がよくなります。

また腸内の善玉菌のエサになることで善玉菌を増やし、腸内環境をよくします。

便も増やして、善玉菌のエサにもなる。

これは、まさに、最初に紹介した「水溶性食物繊維」と「不溶性食物繊維」のいいとこどりです。

●血糖値の抑制

ほとんど消化されずに腸内を移動することで、血糖値の急激な上昇を抑えることができます。

●美肌などアンチエイジング効果

腸内環境が整うことで美肌効果が期待できる。

また、悪玉菌による悪影響を防ぎ、免疫力がアップし、同時に悪玉菌によるエイジング作用を阻止するので、アンチエイジング効果も期待できます。

●ダイエット効果(体重増加、脂肪増加の抑制)

マウスの実験結果では、レジスタントスターチ入りの食事をさせたマウスは脂肪重量が減り、内臓脂肪の増加を抑えることができたそうです。

このような結果からも、レジスタントスターチの豊富な食品は肥満を防止し、内臓脂肪を減らす働きが期待できます。

冷やご飯に秘められた意外な効果。

お弁当をつくって食べることで、これらの効果が期待できるのです。

【まとめ読み】『医師がすすめる新潟式食事術』記事リスト

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全国有数の健康長寿を誇る新潟に注目し、全6章にわたって食と健康の関係を探っています。伝統料理「のっぺ」を使ったレシピも公開

 

五十嵐祐子(いがらし・ゆうこ)
循環器専門医/東京医科大学循環器内科兼任講師/2017年に欧州心臓病学会で「Best Poster賞」を受賞。生活習慣病の予防として「健康のベースは食事にある」という信念のもと、わかりやすい生活指導に定評がある。メディアへの出演、講演活動も広く行う。

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『医師がすすめる新潟式食事術 長生きの秘けつがここにありました。』

(五十嵐祐子/アスコム)

2018年の後期高齢者の医療費が最も低い新潟県。医者が不要で、元気なお年寄りが多い理由は日常の食生活にありました。根菜の消費量、豚国の消費量、枝豆の消費量が全国1位を誇り、生鮮野菜の消費量も全国屈指。新潟県出身の医師がそこに注目し、食と健康から健康長寿の秘密を解き明かした一冊です。管理栄養士と一緒にタッグを組み、新潟式の長生きレシピも30品以上盛り込んでいます。

※この記事は『医師がすすめる新潟式食事術 長生きの秘けつがここにありました。』(五十嵐祐子/アスコム)からの抜粋です。
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