糖質制限、1日の水分補給量、がんは遺伝、仮眠の善し悪し...最近は健康情報がネットに溢れかえっています。そこで「食事」「運動」「睡眠」「生活習慣」などをテーマに、身近で気になる健康情報の疑問に医学のスペシャリストがお答えします。10名の医師団による共著『最強の医師団が教える長生きできる方法』(アスコム)から「健康寿命」のヒントになる記事を抜粋してご紹介します。
【質問1】早寝、早起きは本当に体にいいですか?
【答え】毎日起きる時間だけ同じにする。これで長生きできます。
▼教えてくれた人=繁田雅弘 先生
みなさんは「規則正しい生活」にどういった印象を持つでしょうか。
質問では早寝・早起きについて言及されていますが、安定した生活リズムさえつくれるのであれば、仮に昼夜逆転していたとしてもなんら問題はありません。
一方で、日ごとに就寝時間や起床時間が違ったり、睡眠時間の長さもバラバラだったり、毎日のリズムが変わったりすると体にかかる負荷も大きくなりますので、そちらのほうが健康面においては悪影響を及ぼします。
夜更かしするのであれば、徹底的に毎日夜更かししてください。
夜の街でお仕事をされている人や夜勤中心の働き方をしている人が健康になれないかと言われれば、まったくもってそんなことはありません。
夜更かしというと聞こえは悪いかもしれませんが、習慣として確立されているか否かのほうが重要で、あくまでも自分の生活に合わせた一定のリズムをつくること、それが「規則正しい生活」だと認識してください。
とはいえ、なかなか寸分の狂いもなく毎日を過ごすのは大変かと思います。
たとえば、昼型の生活リズムの人であっても、仕事の付き合いで2次会や3次会にまで顔を出さなければいけなかったり、そうでなくても見たいテレビ番組があったりするだけで、ついつい夜更かししてしまうこともあるでしょう。
そういった場合でも、次の日の起床時間だけは守るようにしてください。
これは睡眠衛生論としても提唱されていますが、優先させるべきは就寝時間ではなく、強いて言うのであれば起床時間です。
なにがあっても同じ時間にさえ起きてしまえば、おのずと夜は眠くなり、いつもどおりのリズムに戻れるはず。
生活のリズムを崩さないことが、ひいては健康的に生きていくことにもつながりますので、起床時間を決めれば長生きできると言ってもいいかもしれないですね。
また、脳を効率よく働かせるために、脳の休む時間と働く時間をしっかり決めてあげましょう。
不定期に起こされて、「さあ、働け!」と急かされても、脳だって寝ぼけているので混乱してしまいます。
なかなか仕事に集中できず、いつもと比べて作業効率が悪くなっている。
こういった事象は、脳が活動できる態勢を整えられていないことに起因します。
試しに1週間、同じ時間に同じ事務作業をするとして、起床時間を定めた場合とそうでない場合とで、効率のよし悪しを比較してみてください。
どちらがよかったかと問われれば、答えは調べるまでもなく、差は歴然としているでしょう。
起床時間を一定に保つことは、脳の機能を保つことにも一役買っています。
短期的には疲れが早く出るなどの苦労はありますが、長期的に考えるのであれば、やはり生活リズムを整えることのほうに重きを置くべきなのです。
【質問2】寝つきが悪いときにやるといいことを教えてください。
【答え】寝つきが悪いときは、腹式呼吸をしてみましょう。
▼教えてくれた人=鳥海弥寿雄 先生
人間は睡眠時、心拍、呼吸、腸の動きなどを司どっている副交感神経が優位な状態になります。
これは裏を返すと、寝る直前に意図的に副交感神経を優位にしてあげれば、眠りやすくなるということ。
心身ともにリラックスした状態になると、おのずとウトウトしてくるのは想像ができるでしょう。
そこでもっともおすすめしたいのが、腹式呼吸です。
お腹のなかの圧を高め、自分の手足のほうに神経を集中させながら、ゆっくり呼吸します。
そして、これを15~20回ほど行うと、手足の先が徐々に温かくなってきます。
腹式呼吸は、体をリラックスさせ、副交感神経が優位な状態に導いてくれるのです。
逆に、寝る前にやってはいけないのが、体を興奮状態にして、交感神経のほうを優位にしてしまうこと。
テレビを見たり、ゲームやスマホいじりをしたりすると、脳が覚醒してなかなか寝られなくなってしまうので絶対にやめてください。
日中に行うのは歓迎と言える適度な運動も、寝る直前だけは控えましょう。
【質問3】睡眠時の正しい体勢を教えてください。
【答え】背骨のカーブを保った状態で仰向けに寝るのがベスト。
▼教えてくれた人=鳥海弥寿雄 先生
人間がいわゆる「気をつけ」の姿勢で立っているとき、背骨がカーブして、それに上から圧力がかかっている状態になっています。
これがすなわち正しい体勢、体に負担をかけにくい体勢です。
寝るときはそれを横にするイメージでいいでしょう。
背骨のカーブを保った状態で仰向けに寝るのが、理想的なスタイルだと思います。
いざ眠ってしまうとその体勢をキープするのは難しい(意図的にコントロールできない)ので、入眠時だけでも意識することが大切です。
立っているときには必要ない枕が登場しますので、頚椎が変な角度にならないように気をつけてください。
ただし、腰の悪い人やいびきのひどい人はその限りではありません。
腰に負担をかけないように、あるいは舌根沈下(仰向けに寝ることで舌が喉の奥に落ちて気道を塞いでしまう現象)を避けるために、横向きに寝ることが推奨されています。
横向き睡眠を促すには、抱き枕を使うと効果的です。
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